農薬:年頭あいさつ2018
西本 麗 氏(農薬工業会 会長)2018年1月2日
新年明けましておめでとうございます。
昨年は相次ぐ台風などによる暴風・豪雨や東日本の低温・日照不足などの厳しい気象でしたが、適切な防除が図られたこともあり、水稲の作況指数は、全国平均100と「平年並み」でした。
また、野菜分野では一昨年、西日本で甚大な被害をもたらしたタマネギべと病は、発生予察に基づく徹底した防除対策により大きな被害の発生はありませんでした。農薬出荷額は野菜畑作分野が増加し前年比101.8 %の微増となりました。
「安全の先にある安心」の獲得へ
高品質な農産物を安定的に生産するためには、病害虫の早期発見とともに、農薬による適切な防除が必要であることが認識されたと考えております。
農業行政では、一昨年11月に政府決定された「農業競争力強化プログラム」に基づき関係府省でさまざまな取り組みが始まり、昨年8月には農業競争力強化支援法が施行されました。農薬については、登録申請に係わる通知の一部見直しにより、原体規格の設定や果樹類の作物群登録の導入が行われました。さらに「農薬取締行政の改革」として、最新の科学の発展に体系的に対応するための体制として再評価制度の導入などが進められつつあります。
農薬工業会といたしまして、農薬の一層の安全性を確保するための体制構築と受けとめ協力してまいりますとともに、日本の農業にとってより良いシステムを構築することにつながるよう、関係府省と意見交換を進めていく所存です。
農薬工業会は、安定的かつ持続的な食料供給を支えるための生産資材として農薬の果たす役割はますます大きくなると考えております。当会は「JCPA VISION 2025」の実現に向けた新たな取り組みとして、「食料生産の重要性と農薬の役割」の情報発信により、消費者をはじめとする関係者と的確なコミュニケーションを図り、信頼関係を構築し、『安全の先にある安心』を獲得することをめざしています。 2015年度から会員各社内及びその周辺(MKP23活動)、農業者・流通関係者(農薬ナビゲーター活動)、そしてアカデミアの3方向を対象とした草の根的活動により情報発信を行ってきています。
この活動は、2015年に国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」達成の取り組みと合致しています。当会の活動を着実に実行することで、持続可能な社会の実現に大きく貢献していきたいと考えております。
本年の干支は戊戌(つちのえいぬ)で「何を取って何を捨てるのかを明確に定めるのが大事な年」と言われています。当会としては、発展させてきたビジョン活動とSDGsを関連付け、目標をより明確にする年にしたいと思います。皆さま方の引き続きのご支援、よろしくお願い申し上げます。
本年が皆さま方にとり、より良い年となりますことを祈念いたします。
(関連記事)
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