農薬:年頭のあいさつ2021
【年頭あいさつ】大きな希望が芽生える年に 小池好智 農薬工業会会長2021年1月3日
新年おめでとうございます。さわやかな新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大、記録的な豪雨等の気象災害やウンカによる被害が発生しました。日々ご尽力されている医療関係者の方々に敬意を表するとともに、感染症に苦しまれている方々やコロナ禍で経済的影響を受けられた方々、豪雨等により農作物に被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。
さて、国連食糧農業機関FAOによれば、食用作物の最大40%が病害虫の被害によって失われ、何億人もの人々が十分な食料を入手できずに苦しんでいるとされています。国連でも、植物病害虫まん延防止に向けた取組の重要性に対する世界的な認識を高めるため、2020年を国際植物防疫年とすることが採択され、活動を行っております。当会は、国際植物防疫年オフィシャルサポーターとして、国連で採択されたSDGsとも関連付けながら、農業への業界としての貢献を掲げたビジョン活動「JCPA VISION 2025」を推進し、植物病害虫や雑草による被害を防ぐ作物保護の重要性を周知することに努めています。
一方、国内では、人口は漸減傾向にあり、輸入も含め食料供給は潤沢なことから、食料不足という不満は生じていません。しかし、農業担い手の減少と高齢化による労働力不足が深刻化しており、スマート農業への取り組みが急がれています。農水省「スマート農業実証プロジェクト」では、農薬散布においても、先端技術の導入・活用の一つとしてドローンの利活用が進んでおり、水稲に加え、ニーズの高い野菜や果樹等の園芸作物でも防除実証が行われています。当会会員各社は、ドローンに係る規制緩和策の下、各薬剤の特性を精査しながら、安全優先の視点を忘れず、これらに的確に対応した新規剤の創出、利便性等の現場ニーズに応えた製剤や散布技術の開発を進め、スマート農業の後押しをしてまいります。
また、薬剤抵抗性が問題となる農業生産現場では、有効な薬剤をできるだけ長く使っていただくためにも、農薬の抵抗性管理をしっかり行うことが重要です。当会では、病害虫の薬剤抵抗性発達を防ぐため、RACコードを利用したローテーション防除について解説したリーフレット「RACコードをご存じですか?」を提供しています。農家の方々の意識を啓発し、正しいローテーション散布を促すことを目的に、指導・普及の担当者や農家の方に無料で配布しています。これらの取組を通して、農業者の労務費削減や、高品質な農産物の安定的な供給と付加価値向上が実現し、市場の拡大とともに農家の収入の増加につながるよう努めてまいります。
本年の干支は辛丑(かのとうし)で、「辛かったことが終息し、大きな希望が芽生える年」と言われています。新年は、コロナ禍が収束し、当会のビジョン活動の成果として、「農薬の安全性と有用性が多くの人々に認められ、農業者が自信を持って農産物を生産し、消費者は安全・安心な食生活を楽しめる社会となっている」という目標が前進するよう、努めてまいる所存です。
本年が皆様にとり、より良い年となりますことを祈念いたします。
重要な記事
最新の記事
-
(408)技術と文化・伝統の引継ぎ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月3日
-
令和6年秋の叙勲 加倉井豊邦元全厚連会長ら77人が受章(農水省関係)2024年11月3日
-
シンとんぼ(116) -改正食料・農業・農村基本法(2)-2024年11月2日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (33) 【防除学習帖】第272回2024年11月2日
-
農薬の正しい使い方(6)【今さら聞けない営農情報】第272回2024年11月2日
-
【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(2)高米価でもリタイア?2024年11月1日
-
【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(3)ギリギリ需給でいいか?2024年11月1日
-
【特殊報】「サツマイモ炭腐病」県内のサツマイモに初めて確認 鳥取県2024年11月1日
-
食と農の情報 若年層にはSNSや動画発信が有効 内閣府の世論調査で明らかに2024年11月1日
-
【注意報】野菜、花き類にチョウ目害虫 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年11月1日
-
だし・かつお節需要が高まる年末年始に向けて「徳用シリーズ」売れ筋2品を10%増量 マルトモ2024年11月1日
-
JA貯金 残高108兆2954億円 農林中金2024年11月1日
-
【田代洋一・協同の現場を歩く】 福島・JA会津よつば 産地強化で活路探る 中山間地域で〝生きる〟2024年11月1日
-
鳥インフル 米サウスカロライナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年11月1日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年11月1日
-
鳥インフルエンザ 「危機感共有して発生予防を」小里農相2024年11月1日
-
兵庫県ご当地カレー&「午後の紅茶」キャンペーン実施 JAタウン2024年11月1日
-
「JA共済安全運転アプリ」提供開始 スマホではじめる安全運転2024年11月1日
-
子どもたちが丹精込めて作った「優結米」熊本「みのる食堂」で提供 JA全農2024年11月1日
-
たまごのゴールデンウィーク「幻の卵屋さん」各所で出店 日本たまごかけごはん研究所2024年11月1日