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総合力の発揮など3つの視点を基調に12次中計を議論  日本生協連全国政策討論集会2013年1月18日

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 日本生協連は1月15?16日の両日にわたって東京で「2013年全国政策討論集会」を開催し、今年度からの「第12次全国生協中期計画?2020年ビジョン第1期計画(13年?15年)?」などについて討議した。

◆店舗の累積赤字2000億円以上に

 第11次中計(2010年度?12年度の地域生協全体の総事業高は、「09年度、10年度とマイナス」だったが、11年度はプラスに転じることができ、この結果、経常剰余金も11年度は「前年比で約180%と大幅に改善」されたが、「11年度の損益改善は震災復興などによる特殊要因が大きい」とみており、12年度上半期は「総事業高が伸びず、損益構造が悪化しており」このまま推移すると12年度推計では「減収減益となり、10年度水準に戻ることになる」のではないかとみている。
 とくに店舗事業では、供給高が03年度以降「漸減傾向が続き」、この8年間の累積赤字は2000億円以上」にのぼるとしている。
 その要因として、「利用人数が前年割れを続けている」ことと、店舗の生鮮4部門の供給構成比を他企業と比較すると「生協平均37.6%に対してSM企業43.6?46.1%、とりわけ成長部門である惣菜の構成比に大きな差がみられ」、「品揃え改善と店舗内技術の向上によって生鮮分野の営業力強化を図り、利用人数の向上に向けた魅力的な店づくりをすすめていくことが課題となっている」と指摘している。

◆宅配事業が単価減少をカバー

 一方、生協の事業を支えているともいえる宅配事業は07年以降漸減傾向にあったが、11年度は震災の影響や買い置き需要などで増収増益を確保する生協が増えたという。しかし、実態としては「利用人数の増加で利用単価の減少をカバーしている状況」だという。
 宅配事業の中核を担っている個配事業伸長率は全体的に鈍化傾向にあり、利用単価の改善に向けて、品ぞろえの改善や商品案内の改善などに引き続き取り組むことが費用だと指摘するとともに、「食品宅配への新規参入が活発化する中、各層・各世代のニーズを汲み取り、生協の宅配をより利用しやすい業態へと革新していくことが求められている」と総括している。

◆人と人とがつながる社会めざして

 こうしたことなどを踏まえて、13年度からの第12次全国生協中期計画(?15年度)では、「私たちは、人と人とがつながり、笑顔があふれ、信頼が広がる新しい社会の実現をめざします」という2020年ビジョンを実現するために、13年度中に、「それぞれの生協で目標を持って、地域世帯組織率の向上をめざす計画づくりに取組み」、「20年までに全国で地域の過半数世帯の参加をめざす」としている。
 そして12次中計における取り組みの視点として次の3つを重視して取り組むことにしている。
視点1:総合力の発揮?くらしと生協の結びつきを深め、生涯利用できる生協へ?。
 具体的には「組合員の相互扶助」「事業の多様性」「地域のネットワーク」といった生協の総合力を事業に活かしていくことが大切だとしている。
視点2:つながりのさらなる強化?消費と生産のつながり、くらしと地域のつながりを深め、安心できる社会へ?
 具体的には東日本大震災の復興と支援として被災者支援のための社会的な枠組み、制度の強化・拡充を求めていくが、とくに原発事故の影響が続く福島への支援を強化していく。
 また、将来的に食料不足が懸念され、大手企業による食品流通の寡占化が振興するなかで、消費と生産のつながりを強化したフードシステムづくりを進めていくことにしている。
視点3:持続可能な経営体質づくり?社会構造の激変へ備えた、連帯の強化?
 具体的には、消費税増税による組合員のくらしの危機への対応として、生協事業としての価格対応方針を準備し、商品事業を通じた組合員のくらしを守る取り組みの強化だ。

◆シニア世代と働く女性への対応力強化

 こうした3つの視点にたった「5つのアクションプランの重点課題」に取り組んでいく。
 アクションプラン1は、「ふだんのくらしへの役立ち」だが、その重点課題としてまず掲げられたのは「商品事業における消費税対応と世代対応」だ。消費税増税など家計への大幅な負担増が進むことから、生協で取扱う商品の原価の低減や仕様変更などの努力を行い「値ごろ感を維持し、利用結集をはかり」くらしと生協事業を守る取り組みを進めていく。
 さらに多様化するニーズや生活スタイルに対応するために「シニア世代」と「働く女性」への対応力を強化し、商品事業を強化していくことにしている。
 宅配事業では、IT技術の活用などにより利便性向上をはかり「競合が激化する」なか、「新たな宅配事業モデルに挑戦」していくとしている。
 店舗事業では「生鮮と惣菜の構成比50%をめざし、産直商品とコープ商品を軸に買いたくなる価格の実現とそれぞれの地域の実情に見合った適正規模への転換を計画化する」ことにしている。

◆生活相談、貸付事業へも挑戦

 アクションプラン2は「地域社会づくりへの参加」で、東日本大震災支援の取り組みのほか、「安心してくらせる地域社会づくりへの参加」として自立を前提にした手助けをめざし「生活相談・貸付事業」に挑戦していくとしている。
 アクションプラン3は「世界と日本社旗への貢献」としてポストIYCへの取り組みと同時に「15年の政府の食料・農業・農村基本計画に向けて製作準備」を進めていくことにしているが、そのベースは、2010年に日本生協連が策定した「食料・農業問題と生活協同組合の課題」で提起された15課題にあるようであり、農業サイドして改めてこの「課題」について検討する必要があるといえる。
 アクションプラン4は「元気な組織と健全な経営づくり」、アクションプラン5は「さらなる連帯の推進と活動基盤の整備」となっている。ここでは「生協の今日的ポジションや社会的役割によりふさわしい法制度が実現するよう」生協法改正を求めていくことにしている。
 以上、駆け足で12中計を見てきたが、生協経営を支える事業そのものが、一つの転機をむかえているという印象を強く持った。
なお、この12次中計はさらに検討され6月の通常総代会で最終的に決定されることになる。


(関連記事)
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