産直の価値を改めて問い直す 全国産直研究交流会開催 日本生協連2013年2月12日
日本生協連は2月8日?9日、東京・品川で「第29回全国産直研究交流会」を開催した。
今回のメインテーマは「産直の価値を改めて問い直す」。全国の生協役職員や生産者など300人強が参加した。
◆第12次中計でも産直事業は重要に
この交流会は、産直に関わる生協・生産者団体・流通業者が参加して1985年から毎年開催されてきている。 生協産直は「CO・OP商品(PB商品)とともに生協事業の柱」であり「時代の最先端を行くCRM(コーズ・リレイテッド・マーケティング)である(べきである)」と、福永晋介産直事業委員会委員長(京都生協)は位置づけた(産直事業委員会報告)が、29回目を」迎えた今回は「産直の価値を改めて問い直す」をテーマに、産直を通して地域内・地域間にネットワークを築き、持続可能な社会に向けた生協産直の価値とその課題を考えようというもの。
開会のあいさつで芳賀唯史日本生協連専務は、現在検討中の第12次中計では「これまでつくってきた事業の総合力発揮と消費と生産のつながりを強めること」が大きな柱になっていると語り、産直事業の重要性を強調した。
その後「社会貢献マーケティングと生協産直」と題して、若林靖永京都大学経営管理大学院教授が基調講演した。
このなかで若林教授は、三浦展氏の「第四の消費」を引用しながら消費社会は変化しており、現代は「倫理的消費とマーケティングについて考える」時代になっていると具体的な事例をあげて語った。
さらに「2012年度全国生協組合員意識調査報告書」による生協組合員の生協事業や活動への意識状況を分析し、生協産直の問題点や課題を指摘した。
(写真)
あいさつする芳賀専務
◆「次の世代へ農業を残す」ことが願い
次いで、(有)良品工房の白田典子代表が「地域の宝探しと参加型商品づくり」を、大阪いずみ市民生協の名和秀人店舗事業部長が「リサイクルループと地域貢献」と題して、それぞれ実践報告した。
その後、菅野孝志JA新ふくしま専務理事が「原発災害を協同組合の力で乗り越える」と題して、「地域と命を守る農地除染(果樹樹体を含む)」や「土地調査とモニタリング体制の確立と公開」など福島における具体的な取り組みを報告した。
こうした取り組みができたのは「歴史の瞬間のこの時点で、農の営みを放棄することなく子孫に豊かな自然、環境、農業、農村風景を残したいとする農業者一人ひとりの想いを肌で感じたからにほかならない。また『ど真ん中にあるJA』運動が本物たり得るため、さらに未来へつなぐことへの責任がある」からだと「次の世代へ農業を残す」ことが福島の生産者の願いだからだと語り、会場からは大きな共感の拍手が贈られた。
そして福永産直事業委員長がこれまでの生協産直事業について整理しこれからの期待などを報告した。
2日目は「経営面から見た生協産直」「持続可能な農・畜産業と地域再生」「地場商品の開発と組合員参加」「福島及び東北三陸復興支援と生協の関わり」をテーマに分科会が行われ熱心にそれぞれのテーマについて論議された。
(写真)
会場には「復興支援の展示ブース」も
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