「日本には有利な条件がある」 アジアへの輸出2013年3月21日
農林中央金庫は3月19日、東京・大手町のJAビルで「食のアジア販路開拓セミナー」を開催。農業や食品の関連団体・企業などの関係者70人ほどが参加した。
JAグループは昨秋の第26回JA全国大会で、「国際見本市や博覧会等への参画等による輸出事業の拡大」を掲げ、グループ全体で国産農畜産物の輸出に積極的に取り組むことを決めた。 農林中金では「今セミナーは、輸出支援に向けた取り組みの一つ。今後もJETROなどとも連携を取りながら、さまざまなサポートを図っていきたい」(農林水産環境統括部エコ・フードビジネス推進室長・水谷伸司氏)としている。
今セミナーでは、生産者や系統団体が特に高い関心をもっているアジアをテーマにした。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの川上龍雄国際営業部長が巨大市場である中国、インドへの食品輸出の現状について報告したほか、香港、シンガポールのバイヤーが現地の状況を紹介した。
(写真)
水谷伸司エコ・フードビジネス推進室長
◆2020年にアジアの富裕層は日本の3.5倍に
川上氏は年間可処分所得3万5000ドル以上の、いわゆる「富裕層」は、2015年には日本人約1億人に対して、日本を除くアジア全体で約2億人に達し、20年には3億5000万人にまで増大するという試算を出し、「アジアは新たな消費市場として急速に成長している」現状を紹介。
「すでに欧米大企業や華僑はアジアの食品市場の獲得に乗り出しているが、距離が遠い、商品力が乏しい」などの課題がある。これに対し日本は、「距離が近く、資本力があり、商品力もある」など、有利な競争条件を揃えていると強調した。
しかし、一番の課題は「価格の高さ」だという。これを克服し、現地の人に購入してもらうためには、「健康にいい、安全など、具体的な価格差の理由をしっかり説明する」ことが必要だが、「日本人はたいてい、こうした説明があまり上手くない」という。
中国とインドの消費市場の特徴については、中国は「中国向けに作ったものよりも、日本人向けに作ったものの方がニーズが高い。価値をきちんと説明すれば、高くても買ってくれる」、インドは「ベジタリアンが多いので精進料理の食材などに関心が高い。また、カレーは油を大量に使うため肥満が多く、健康食品に対するポテンシャルは相当高いだろう」などと分析した。
このほか、香港のバイヤーは韓国製品の輸出が進んでいることを紹介し「商標登録を早めにするなど、日本ブランドを守ることが必要」、シンガポールのバイヤーは「シンガポールを経由してアジアの各文化圏に展開するような中長期の戦略を」などとそれぞれ提言した。
(写真)
アジアの食品市場の現状を紹介する川上氏
(関連記事)
・岩手県漁協にダンボールケース贈呈 農林中金(2013.03.18)
・3割弱が農産物輸出に意欲 日本政策金融公庫(2012.12.26)
・「次代につなぐ協同」を決議 第26回JA全国大会(2012.10.16)
・アジア50億人市場の開拓を 輸出支援のセミナー開催 農林中央金庫(2012.01.19)
重要な記事
最新の記事
-
米農家(個人経営体)の「時給」63円 23年、農業経営統計調査(確報)から試算 所得補償の必要性示唆2025年4月2日
-
移植水稲の初期病害虫防除 IPM防除核に環境に優しく(1)【サステナ防除のすすめ2025】2025年4月2日
-
移植水稲の初期病害虫防除 IPM防除核に環境に優しく(2)【サステナ防除のすすめ2025】2025年4月2日
-
変革恐れずチャレンジを JA共済連入会式2025年4月2日
-
「令和の百姓一揆」と「正念場」【小松泰信・地方の眼力】2025年4月2日
-
JAみやざき 中央会、信連、経済連を統合 4月1日2025年4月2日
-
サステナブルな取組を発信「第2回みどり戦略学生チャレンジ」参加登録開始 農水省2025年4月2日
-
JA全農×不二家「ニッポンエール パレッティエ(レモンタルト)」新発売2025年4月2日
-
姿かたちは美しく味はピカイチ 砂地のやわらかさがおいしさの秘密 JAあいち中央2025年4月2日
-
県産コシヒカリとわかめ使った「非常時持出米」 防災備蓄はもちろん、キャンプやピクニックにも JAみえきた2025年4月2日
-
霊峰・早池峰の恵みが熟成 ワイン「五月長根」は神秘の味わい JA全農いわて2025年4月2日
-
JA農業機械大展示会 6月27、28日にツインメッセ静岡で開催 静岡県下農業協同組合と静岡県経済農業協同組合連合会2025年4月2日
-
【役員人事】農林中金全共連アセットマネジメント(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年4月2日
-
【スマート農業の風】(13)ロボット農機の運用は農業を救えるのか2025年4月2日
-
外食市場調査2月度 市場規模は2939億円 2か月連続で9割台に回復2025年4月2日
-
JAグループによる起業家育成プログラム「GROW&BLOOM」第2期募集開始 あぐラボ2025年4月2日
-
「八百結びの作物」が「マタニティフード認定」取得 壌結合同会社2025年4月2日
-
全国産直食材アワードを発表 消費者の高評価を受けた生産者を選出 「産直アウル」2025年4月2日
-
九州農業ウィーク(ジェイアグリ九州)5月28~30日に開催 RXジャパン2025年4月2日