農産物、アジア翌日配送実現へ ヤマトグループ2013年7月4日
日本国内で出荷した新鮮な農産物や魚介類を翌日の香港の夕食時に届ける「国際クール宅急便」のスタートなどを盛り込んだ「バリュー・ネットワーキング構想」を7月3日、ヤマトホールディングス(木川眞代表取締役社長、本社:東京都中央区)が発表した。同社は物流改革で日本経済の成長に貢献するとして、このうち国際クール宅急便によるアジアへの販路拡大は農業再生プランの支援になるとしている。
◆羽田、厚木、沖縄に物流拠点
同社は「羽田」と「厚木」、さらに「沖縄」に新しい物流拠点を整備し8月以降に本格稼働させる。
新しい物流拠点は「24時間稼働」、「発着同時のスピード仕分け」などが特徴で、取引先の配送先情報と照らし合わせて同社の物流拠点でピッキングなども行う機能を持つなど、事業者側の仕分け発送を不要にするほか、半製品を最終加工したり、高度機器のメンテナンスなども担う機能も持たせる。
羽田は陸海空の結節点、厚木は大都市への入り口のゲートウエイとして位置づける。ゲートウエイはほかに豊田市内と大阪市内に用地を確保し、ゲートウエイとゲートウエイ間で日中の多頻度運行を行うことで主要都市間の「当日配達」を実現する。
これに加えて沖縄は国際物流ハブとして深夜の航空便ネットワークに加え、スピード通関などの機能も持つ。 構想では、東京発香港の場合、ヤマト運輸センターの締め切り時間を午後6時とし、羽田空港を午前0時に出発する。那覇空港には午前2時半頃に到着するが、成田・関空と異なり、24時間の通関作業可能。そのため午前5時に香港に向けて出発することができて、香港空港に7時頃に到着、輸入通関業務を経ても香港のヤマト運輸の物流を使えば午後2時過ぎには同社の宅配便機能で配達ができるという。
◆「止めない物流」をめざす
木川社長によればこれまで北海道のカニ、宮崎牛、長野のリンゴなどで試験的に翌日配達に輸出を行って好評で「翌日の夕食に日本のおいしい農畜産物を届けることができる」と話す。そのためには検疫制度を見直すことも必要だが、台湾をはじめアジア各国へ広げていきたいとしている。 同社によると企業は製造コストを限界まで削減しているが、出荷後は物流業者任せのためコストアップになっており、また、急速にボーダレス化が進むなかで、取引先と生産拠点が分散化、複雑化し在庫マネジメントも含め物流全体の最適化ができていないと強調している。
今回の「バリュー・ネットワーキング構想」は「宅急便という仕掛け」(木川社長)を使った小口多頻度配送を基盤に、付加価値を付けながら素早くネットワークを結ぶイメージ。従来の倉庫・在庫依存型の物流から「止めない物流」をめざすことで価値を生み、在庫コストを削減するものだという。
(関連記事)
・イチゴの個別包装容器を開発 流通ロスを軽減(2013.03.25)
・【シリーズ 物流から経済を読む】 第1回 荷動きから景気を予測(2010.07.23)
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