表示義務 早急に拡大を加工食品の原料原産地2014年8月28日
全中と全農が意見書提出
消費者庁は食品表示法に基づく新たな食品表示基準を検討しているが、7月に消費者委員会食品表示部会での議論をふまえた食品表示基準案を作成し、8月初めまでに意見募集を行った。これに対してJA全中とJA全農は連名で、加工食品の原料原産地の表示義務を早急に拡大することが必要だとするなどの意見書を提出した。
食品表示の一元化に向けた食品表示法の成立・公布を受けて、新たな食品表示基準を27年6月までに決めて実施することにしている。そのために昨年秋から消費者委員会食品表示部会で議論が重ねてきた。
しかし、現在の議論では、懸案となっていた原料原産地表示や遺伝子組み換え表示、添加物の表示などの課題は議論になっていない。
消費者委員会食品表示部会委員の立石幸一JA全農食品品質・表示管理部長は、昨年6月に公布された食品表示法では、食品を選択するために必要な情報が提供されることは「消費者の権利」と基本理念で明確に位置づけたことを強調、この理念が実現される表示のあり方を検討すべきだと主張してきている。
加工食品の原料原産地表示や遺伝子組み換え食品表示の拡大などは長年の課題となってきた。しかし、新たな食品表示基準案の策定方針はそもそも「原則として表示義務の対象範囲(食品、事業者等)については変更しない」などとして議論が進められ基準案が提示された。
こうしたことから意見書では「食品は人の生命・健康を維持し支えるもの」、「表示は価値判断のための大切なルール」と指摘し、「多くの消費者は加工食品に原材料に何が入っているか、どこで作られたものか正確な情報の開示を要望しており、加工する側も提供する義務がある」との考えを強調し、加工食品の原料原産地表示の対象を早急に拡大すべきとした。
現行制度の問題としては、対象品目が限定されていることに加え、重量比で50%を超えていなければ表示義務が課されないことから、加工食品の多くは原産地情報が提供されていないなどがある。また、表示義務がないために輸入原料を使用しているのにあたかも国産原料を使用しているとの誤認を与えている実態も指摘した。
また、今回の意見書では外食・インストア加工での「原材料」の情報伝達を義務化し、消費者への情報開示のあり方も早急に検討すべきことも主張した。
現行制度では、外食やインストア加工向けに販売される生鮮食品については、原産地情報の伝達は省略することができる。一方、外食などの店舗では消費者の求めに応じて説明することができるとされている。しかし、外食など最終加工者に原材料情報が伝達されていなければ、消費者の問い合わせに答えたり、自主的な表示もできない。
7月には輸入鶏肉製品で期限切れ肉の使用が明らかになるとともに、不衛生な食品加工の事態も報道された。しかし、こうしたケースでも鶏肉の原産地やどこで加工されたのかといった情報を知ることができないのが実態だ。
こうしたこともふまえて情報開示のあり方を早急に検討すべきだと主張している。
(関連記事)
・「全農ブランド」95アイテムを追加(2014.08.21)
・消費者の権利に基礎置く表示基準を 生活クラブ(2014.08.20)
・食品表示、TPP妥結前に基準化を パルシステム(2014.08.18)
・加工食品の原料原産地表示を考える[9]食品表示、どうなるの? 消費者の感覚とズレも(2014.04.03)
・食品偽装はなぜ起きた? 業者間取引に規制を(2013.12.13)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日