生協の存在が社会的なインフラに 日本生協連新年記者会見2017年1月19日
日本生協連は1月18日都内で浅田会長らが出席して「新年記者会見」を行った。
日本生協連は、2020年ビジョンで掲げている「全国の生協が力をあわせて取り組む3つの重点課題」である△安心してくらせる地域社会づくりへの参加、△商品力の強化を通じた組合員のくらしと生協の経営への貢献、△生協の未来を担う人材の確保と育成、に取組んできているが、「ほぼ計画通り進捗している」(浅田克己会長)だという。
2016年度4月から12月までの事業経営状況については、総供給高が前年同期比101.5%、宅配供給高同101.6%(うち個配103.5%)、店舗供給高同100.6%といずれも「前年を超過」しているが、7月から9月にかけての異常気象の影響や野菜価格の高騰などの影響で、損益面では苦戦し「増収微減益」している(嶋田裕之専務)という。
事業面でのトピックスとしては、店舗事業では新規出店11店、改装30店と改装が進み新規出店も始まるとともに、惣菜・生鮮部門が強化された。宅配事業では、供給高だけではなく利用人数も前年比101.5%と伸長するとともに、Web加入やネット注文、スマホやタブレットを活用した配送など、ITを活用した事業改革が進んできているという。
また、配食事業が48生協12万5000食(3月現在)、移動店舗が30生協155台(9月現在)と、生協事業のインフラを活用し地域ニーズに応える事業活動が進んできている。
また、15年6月から実施してきているコープ商品のブランド刷新も着実に進んでおり、17年度中に全4000品目を刷新する予定にしている。また、コープクオリティに続くサブブランドとして、子育て層向け商品群を今年の春に向けて準備中だという。
16年3月現在の地域生協組合員数は2146万人(前年同期比102.1%)で世帯加入率は37%となっている。また、世帯加入率50%超は宮城・新潟・兵庫・北海道・福井の5道県、45%超が宮崎・岩手・香川・奈良の4県となっているなど、多くの地域で「生協が社会的なインフラとなっている」。
このほか、福祉事業や環境・エネンルギーへの取り組みなども着実に進展していることが報告された。
会見で「国産農産物についてJAグループとの連携」について質問された浅田会長は、個々の地域生協と産直産地など「地域ではつながっているが、全農と日本生協連との間で情報の共有化ができておらず全体の取り組みが見えていない」ので「情報の共有化をはかっていきたい」と語った。
また、協同組合が世界遺産に登録されたことについて「協同組合が世界的に評価されたこと」を歓迎するとともに、いま世界的に問題となっている「貧困」について、「競争と奪い合いでは解決できない」問題であり、協同組合の「助け合い」を社会的な仕組みにするなど「貧しさに対して新しい価値を協同組合の役割」としていく必要があるとした。その具体例として「宅配があるからそのインフラを活用して『見守り』などの活動ができるなど、そうした活動が一体となっているのが協同組合」だと語った。
そして、政府のJA改革や全農に買取をすることを求めたものは「競争と奪い合い」ではないか、世界遺産に登録されても、安倍政権は農協改革や全農攻撃をしており協同組合を評価しているとはいえないのではないかという質問について、生協も加盟しているJJCは、11月11日の規制推進会議農業WGの意見について、「協同組合原則に基づいて強く懸念を表明」しており、日本生協連も「自主・自立の組織として、農協組織と一緒にやっていきたい」と述べた。
(写真)記者会見する浅田克己会長(中央)、嶋田裕之専務(左)と和田寿昭専務(右)
重要な記事
最新の記事
-
政府備蓄米 初回9割落札 60kg2万1217円 3月末にも店頭へ2025年3月14日
-
【人事異動】JA全共連(4月1日付)2025年3月14日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年3月14日
-
(426)「豆腐バー」の教訓【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月14日
-
実需者と結びつきある飼料用米 支援継続を 日本農業法人協会2025年3月14日
-
オホーツクの恵み 完熟カボチャからフレークとパウダー JAサロマ2025年3月14日
-
日本一の産地の玉ねぎがせんべいに 産地の想い届ける一品 JAきたみらい(北海道)2025年3月14日
-
みおしずくがクッキーに 日野菜漬はふりかけに JAグリーン近江(滋賀県)2025年3月14日
-
地域の歴史受け継ぎ名峰・富士の恵み味わう かがり火大月みそ JAクレイン(山梨県)2025年3月14日
-
【人事異動】JA全厚連(4月1日付)2025年3月14日
-
高まるバイオスティミュラント普及への期待 生産者への広報活動を強化 日本バイオスティミュラント協議会2025年3月14日
-
岩手県大船渡市大規模火災での共済金手続きを簡素化 JA共済連2025年3月14日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第107回2025年3月14日
-
3月14日は「蚕糸の日」 大日本蚕糸会2025年3月14日
-
種苗・農産物輸出の拡大に向けた植物検疫のボトルネック解消「農研植物病院」へ出資 アグリビジネス投資育成2025年3月14日
-
【役員人事】農中信託銀行(4月1日付)2025年3月14日
-
山形県発注の豚熱ワクチンなどで3社が独禁法違反 公正取引委員会2025年3月14日
-
自己株式取得状況を公表 OATアグリオ2025年3月14日
-
製品プラ資源循環事業「プラリクル」静岡県SDGsビジネスアワード2024で優秀賞 カインズ2025年3月14日
-
スーパー従業員の97%が支持 カスハラ対策で名札の名前を非表示に ベルク2025年3月14日