いまだ「風評」の影響 農畜産物で価格差 福島県産の農産物販売2020年4月3日
農水省は東日本大震災・東京電力福島第1原子力発電所事故による福島県産の農産物の販売不振の実態を調べ、3月31日、その結果を発表した。野菜の一部を除き、米、牛肉、桃など重点6品目の出荷量はいまだ回復せず、価格も全国平均を下回っていることが明らかになった。
大震災後、各地で開かれた福島県産の販促活動
調査した重点6品目は米、牛肉、桃のほか、あんぽ柿、ピーマン、それに海産物のヒラメ。出荷量は震災前の水準に回復しておらず、全国平均との価格差は徐々に回復しているが、依然下回る品目が多い。
特に米、ピーマンは震災前から2割前後減っている。あんぽ柿とヒラメは、近年回復に向かっているものの、4~5割の出荷・水揚げ量となっている。
一方価格は、震災直後に全国平均を大きく下回ったが、その後、徐々に価格差が小さくなっている。ただ、ピーマンは全国平均と同じ程度に回復した。
また小売業者を対象にした調査で、流通段階ごとの価格の推移をみると、ピーマンは産地にこだわらず一定の価格を決め、中間流通業者の手数料も同じであったので、産地・卸・小売の各流通段階で福島県産と岩手県産は同じ価格だった。あんぽ柿も同様、和歌山県産と同じ価格で販売されていた。
一方、米は首都圏の量販店等で特売品として取り扱われていることが多く、新潟県産との小売価格に差があるが、産地・卸・小売の各段階ごとの価格形成の違いはあまりない。牛肉も北海道産と同様の価格形成の構造だった。なお福島県産だからという買いたたきは見られなかった。
一方、福島県産に対する評価では、他県産より優れているところとして、果実では品質・供給量・価格を挙げている。流通業者が仕入れの際に着目するポイントは「品質」「安全・安心」「供給量の安定」だった。
このほか、福島県産の取り扱いの積極さについて、外食産業の自己評価に比べ、外食産業に対する納入業者等の評価が低く、消費者の自己評価に比べ小売業者・外食産業の消費者に対する評価が低い傾向がある。「こうした流通段階ごとの認識の齟齬(そご)を解消する必要がある」と、報告書は指摘している。
なお調査は、平成29年度から実施。重点6品目を含め26品目で概要調査し、福島県産農産物等の評価について、事業者等へのアンケートを行った。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会】JA全青協OBの思い 経験が糧に(2)生産者の声 発信が大切2025年2月27日
-
【座談会】JA全青協OBの思い 経験が糧に(3)先が分かる経営者たれ2025年2月27日
-
バイオスティミュラント表示のガイドライン パブリックコメントの募集へ 農水省2025年2月27日
-
社員が米づくり 海外店舗へ輸出 プレナス2025年2月27日
-
23年の農作業事故死亡者数が高水準に 熱中症、未熟練作業者に専用研修など強化 農水省2025年2月27日
-
花が咲いていない真冬のチューリップ祭り【花づくりの現場から 宇田明】第54回2025年2月27日
-
「故郷」を後にする老人のつぶやき【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第330回2025年2月27日
-
大分県のねぎ産出額100億円達成、生産振興大会を開催 JA全農おおいた2025年2月27日
-
スキムミルク使用「一条もんこの明日も食べたい モゥ~っとミルクのキーマカレー」新発売 JA全農2025年2月27日
-
岩手県大船渡市の大規模火災への相談対応 JAバンク、JFマリンバンク2025年2月27日
-
農家向け栽培管理アプリ「Agrihub」に新機能「AI栽培レポート」追加 アグリハブ2025年2月27日
-
千葉県香取市 移住・広報・農業・観光の4分野で地域おこし協力隊を募集2025年2月27日
-
JSS蚕糸の日2025「国産蚕糸・絹の価値とは」開催 日本サステナブルシルク協会2025年2月27日
-
「ノウキナビ」自社配送サービス開始 中古農機具も自宅まで配達 唐沢農機2025年2月27日
-
適用拡大情報 殺虫剤「日曹フェニックスフロアブル」 日本曹達2025年2月27日
-
「米5kgはお茶碗76杯分」小売店向け訴求POPデータに新デザイン アサヒパック2025年2月27日
-
北洋銀行と農業融資分野におけるCDS基本契約締結 日本公庫2025年2月27日
-
藤沢の配送センターで地域交流イベント開催 パルシステム神奈川2025年2月27日
-
東日本大震災 被災地ゆかりのゲストが語るオンラインイベント開催 パルシステム東京2025年2月27日
-
都会の子どもにニッポン農業を発信「ファーマーズ&キッズフェスタ2025」に出展 ぐるなび2025年2月27日