佐賀県隣接の8島 有機JAS認可「オーガニックアイランド」めざし始動 リトコス2020年9月4日
佐賀県の8つの離島に自生する植物や栽培した植物を活用し、化粧品の原料化、加工品製造、量産化、産業化することを目的としたNPO法人リトコスが8月31日から活動を始めた。

佐賀県には、加唐島、加部島、小川島、松島、高島、神集島、馬渡島、向島と隣接する8つの島がある。同法人の三田かおり代表が、唐津市の地産原料開発委託業務の一環で(一社)ジャパン・コスメティックセンターのコーディネーターとして島へ訪れるたびに離島の課題に直面し、"コスメ"で解決できないかと考えた。
近年、島々の畑ではイノシシの被害が多く、耕作放棄地が増えていることが地域の課題となっている。漁業を生業とする人が大半で、農業従事者がいなかったことが原因の一つとなっている。リトコスは、耕作放棄地を開墾しオーガニックによるハーブ栽培やそれらを使った加工品の製造が広がれば、8つの島の自然環境の改善と人口流出防止につながると考えている。
現在、島民と一緒に、農薬や化学肥料を一切使わない自然農法で、化粧品の原料を生産。島民が安心して畑を耕し、出荷できる体制を整えることは、子どもたちが安心して島で暮らせることへとつながるとして活動を始めた。
取り組み事例として、佐賀県の最北端にあり100人程の人々が暮らす加唐島では、島に自生する4万5000本の椿の木の良質な椿油を生かし、新しい産業として産地化をめざしている。これまでにも加唐島で生まれた椿油は様々なコスメブランドで製品化され、島の自生種であるヤブ椿100%から生まれた椿油が好評だという。
ビジネスの仕組み
取り組み事例~加部島
佐賀県唐津市呼子の特産品である甘夏みかんは、なつみかんに比べ糖度が高く、酸が抜けるのも早いため、早く出荷できるのが特徴。市場には4月から5月頃にかけて出回る。飽きのこない風味とまろやかな甘さ、適度な酸味から、甘夏ゼリーなどの加工品としても親しまれている。リトコスは、呼子の特産品「甘夏かあちゃん」の見た目が悪く捨てられていた甘夏の皮から、蒸留水と精油を抽出し、化粧品原料を生産することに成功。福祉関連施設との協働をめざし、唐津特別支援学校の生徒たちとの商品開発や、就労施設との連携により障害者の就労支援を行っている。
取り組み事例~高島
唐津城から約2キロの沖合に浮かぶ高島は、人口200人ほどで、この10年で半分ほどに減っている。原因のひとつは農業従事者がいないこと。イノシシの被害が多く、耕作放棄地が増えていること、仕事がなく若い世代が島を離れてしまうことが少子高齢化に繋がっている。リトコスでは、農業従事者ゼロの高島で島民に自然農法や日本ミツバチの養蜂を指導し、シニア層の生きがい、収入増へ繋げている。また、島でできた素材だけを使って島の子供たちと一緒にコスメ作り体験なども実施。高島では島のすべての耕作放棄地にJAS認証を取得し、将来的にはコスモス認証を取得し原料の付加価値化をめざしている。
取り組事例~向島
かつて豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に物見番所として重用されていた向島は人口50人程度の島。地元では生産組合が立ち上がり、インドセンダン(ニーム)を育て、お茶に加工している。原産地のインドでは奇跡の木として知られているニーム。古くから家庭に万能薬として常備され、人々の生活を支えてきた。近年は、虫を寄せ付けない効果があることがわかってきており、動物や人間には無害なことから、子どもにも安心して使える虫よけとして、また無農薬、自然農法でも畑に撒くことで、天然の虫よけ剤になるということでも需要が高まってきている。
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