希望職種は農業が最多 新しい日常における森林活用調査2020年9月14日
林野庁の令和元年度「森林サービス産業」緊急対策事業を受託する森林サービス産業プロモーション共同企業体は、20〜50代の男女3200人に対し、「新しい日常における森林活用の意向調査」を実施した。調査は、国土の約7割を占める森林空間と農山村の活用に関する意向を調査。新型コロナウイルスの影響で新しい日常の浸透が進む社会で、森林に対してどのような意向があるか明らかにした。
調査の結果、農山村移住の意向は24.4%と約4人に1人。また、移住希望者による「テレワーク可能時での移住意向」は7割を超えた。
移住希望者に理由を聞いたところ、「自然にあふれた魅力的な環境だから」(65.0%)が突出して高く、次いで「都会に疲れた」(34.6%)といった回答も一定数あった。「コロナウイルスの影響を避けるため」と15.7%が回答しており、移住・定住意向に関してもコロナウイルスの影響を受けていることがわかった。また、農山漁村への移住の理由を年代や男女差別で見ると、年代や男女差によって特徴があった。子育て世代の20〜40代の男性の約4割(41.5%)が「都会の生活に疲れたから」と答え、20代〜40代の女性は「子育てに適しているから」と約6割(57.5%)が回答。男女問わず年齢が上がるにつれ、「魅力的な自然環境の存在」を理由に挙げる割合が高くなる傾向となった。
移住時の希望業種に関しては、「農業」が最も多く39.7%。次いで、「第3次産業」が23.8%、「林業」が18.6%となり、「IT・情報産業関連」(16.9%)や「再生可能エネルギー産業」(16.6%)にも回答が分散した。
テレワーク可能時の移住意向は7割超
移住希望者にテレワークが可能となった場合の移住意向を聞いたところ、71.9%が移住の意向を示した。このことから、新しい日常で推奨されているテレワークという働き方が現在より社会に浸透していけば、移住・定住者もより増加していくことが推測できる。
3密を避けた屋外活動の関心は5割超
3密を避けた屋外活動への関心については、「とても関心がある」(17.5%)、「やや関心がある」(33.7%)と合わせて51.3%。また、3密を回避できそうなレジャー空間について聞いたところ、回答の上位は「山」(48.2%)、「森」(43.0%)となり、森林空間は3密を回避できるレジャー空間であると4割超の人が認識していた。
この結果から、コロナ禍の環境を受けて屋外活動への関心が高まっており、3密を避けたレジャー空間として森林の役割が高まっていくことが期待される。
男性より女性の方がアウトドアに「非日常」を求める傾向
アウトドア(野外で活動すること)について、好意的だと回答した人(51.2%)に対し、アウトドアへの魅力を聞くと、半数以上が「清々しい空気」(67.3%)、「景色・景観」(56.2%) と回答。また、男女別では、女性は「日頃のストレスが解消できる」 (54.6%) 「日頃と違った非日常を味わえる」(45.5%)「広い空間で過ごすことができる」(30.9%)などが男性より高く、女性の方が「非日常」に対する魅力をアウトドアに求めていることが明らかとなった。
結果を受けて、森林空間利用促進プロモーション検討委員会の座長で東海大学観光学部観光学科教授の田中伸彦氏は「農山漁村で就きたい職業から持続可能な森林づくりのヒントがあるのでは」とコメント。また、「ポストコロナ時代を見据えて『新たな森林活用』に関するプロモーションを推進することも重要。コロナ前とは違う、ポストコロナ時代での森林観光レクリエーション活動を紹介する『アクティビティベース』のインストラクション動画等の発信が重要。また、観光レクリエーションを受け入れる山村で実際に働いている人がどの様な生活を送っているのかを紹介する動画の制作・発信なども効果があると考えられる」と話している。
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