志布志市特産「しぶし茶」で町おこし コロナ禍の危機から脱却へ2020年11月2日
鹿児島県志布志市観光特産品協会は、コロナ禍の危機的状況からのV字回復をめざす取り組みとして「新・志布志ベン茶ー宣言」を展開する。平成29年に実施したお茶を活用した町おこし「志布志ベン茶ー宣言」の原点である農林水産業者を中心に、加工事業者・商工観光業者が一体となり、地域活性化のため「ワンチーム」となって農林水産物のPRにに取り組む。
「しぶし茶」の歴史は古く、享保11年(1726年)に志布志市有明町でお茶が生産された記録が残る。約300年の歴史あるお茶の名産地である志布志市は、全国2位の生産量を誇る鹿児島県の中でも、南九州市に次ぐお茶の一大産地となっている。
火山灰の土壌が保水と水捌けに優れ、平坦地で機械化が進めやすかったこともあり、昭和40年代前半から茶業が本格的に大規模化。志布志市の名産品として「しぶし茶」がブランド商品となった。
「しぶし茶」の最大の特徴は、お茶の品種が豊富なこと。全国では育てやすく高品質な「やぶきた」が7割以上を占めているが、品種が偏ることで収穫時期が短い期間に集中し、摘み遅れによる品質の低下や、過重労働などのデメリットを生んでしまう。一方、志布志市では早生〜晩生まで様々な品種を作って旬の時期を分散することで、収穫しやすく、品種を調合することで色・味・香りのバランスを保ち、良質なお茶づくりを次世代へ継承している。
平成29年に実施した「志布志ベン茶ー宣言」では、粉末茶で割る焼酎の飲み方が「茶酎(ちゃーちゅう)」として志布志市観光特産品協会名で商標登録された。これを機に、特産品の「しぶし茶」の新しい飲み方を全国へ広め、盛り上げるための様々な活動に取り組んでいる。茶酎は、焼酎に粉末緑茶をパッと振り入れるだけで、お湯割り、水割り、ロックと手軽に楽しめる。風味豊かな芋焼酎と緑茶がお互いを引き立て合い、甘みをより強く感じられる。同協会は「茶葉の栄養成分であるカテキン・ミネラル・ビタミン・サポニンを摂れるため、体に嬉しいお酒になります」とアピールしている。
また、農林水産省が進める「令和2年度国産農林水産物等販売促進緊急対策事業」の茶販売促進緊急対策事業を活用し、茶生産者の組織である志布志市茶業振興会が、同市内で生産された令和2年産のお茶を使用したオリジナルのほうじ茶ティーバッグを作った。これは、ふるさと納税返礼品への同梱や、各種イベントや宿泊施設・飲食店等で配布。手軽で簡単に飲める緑茶として計2万袋を配り、「しぶし茶」をアピールする。
同市は、南九州の温暖な気候と、霧島山系由来の地下水がシラス台地を通して豊富に湧き出ており、鰻の養殖が盛ん。農畜産物の生産にとって南九州随一の生育環境が整っている。また、黒潮海流に面した志布志湾では豊富な魚介類が水揚げされるなど、グルメでまちづくりを推進している。6月にリニューアルオープンした志布志市観光特産品協会のオンラインショップでは、「しぶし茶」をはじめ、志の高い生産者が手間暇かけた特産品を買うことができる。
農商工一体で取り組む町おこしに取り組む志布志市茶業振興会の吉野会長
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