「おいしさ」に期待、気になるのは「安全性」細胞農業・培養肉に関する意識調査2021年2月9日
日本細胞農業協会は、全国男女1000人の消費者を対象に「細胞農業・培養肉に関する意識調査」を実施。次世代の食の選択肢のひとつとして研究開発が進められる、「細胞農業(Cellular Agriculture, セルアグリ)」に対する認知度や受容度について調査した。同調査はフードテック官民協議会「細胞農業CC(コミュニティサークル)」の活動の一環として行われた。
細胞農業(セルアグリ)は、従来家畜や水産資源など動物個体から得ていた生産物を、特定の細胞を培養することで収穫する生産方法。よりサスティナブルで効率的な食料生産方法を確立するため、世界中で23か国、100社以上の企業が、細胞培養による食料生産のための技術開発に取り組んでおり、牛肉、豚肉、鶏肉などの「肉」をはじめ、サーモン、マグロ、エビなどの「魚介類」、高級食材のフォアグラ、チョウザメなど、さまざまな食材で開発が進められている。日本国内ではまだ市場に出ていないが、シンガポールでは2020年12月、Eat Just社の培養鶏肉の販売認可が下り、今後世界的にも規制の確立と共に製品化や上市が進むことが予想される。

「培養肉」を知っている日本人は約4割
調査によると、全年齢のアンケート結果からは、「細胞農業」について知っている人は19.1%、「培養肉」について知っている人は39.1%。また、細胞農業については、「知っている」と回答した人の割合が最も高い年齢層は20代(32.5%)で、他の年代間では差はなかった。

期待するのは「おいしさ」、気になるのは「安全性」
細胞農業・培養肉について期待することを聞くと、「味がおいしいこと」(38.9%)、「食料危機を回避できること」(27.9%)、「価格が安いこと」(27.2%)が上位。一方、気になること・心配なことは、「食の安全性が担保されているか不安」(37.9%)、「おいしいかどうか」(34.8%)、「何が入っているかわからない」(29.3%)が上位で、いずれも味について強い関心があることがわかった。
培養肉のイメージについては、「知らないのでわからない」という回答が5割と最も多く、「未知のものに対する不安がある」回答が3割。「環境や動物にやさしくて良さそう」など好意的な回答が2割という結果だった。また、「『培養肉』という名前がよくない」という意見が複数挙がった。

「ふつうの肉より高い金額を出してでも培養肉を試したい」が約3割
「もし試しに食べてみようと思ったときに、培養肉100gあたり何円であれば買いますか」という質問に対し、1/4以上(27.9%)の人が、市販で売られている肉よりも、高い金額で購入する意思があることがわかった。全国各地にある珍味に代表されるような、日本の多様で豊富な食文化が、新しい食への寛容につながっていることも考えられる。
今回の調査結果から、細胞農業の生産物に関する情報の透明性を保ち、その製造方法や安全評価について、消費者に対して提示することの重要性が浮き彫りになった。この結果を受け、CAICと細胞農業CCは、細胞農業で用いられる技術やその安全性など、消費者が知りたい細胞農業に関する情報を積極的に発信していく。
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