木々が戻った足尾山でニセアカシアのハチミツが特産品に 国民宿舎かじか荘2021年3月12日
栃木県日光市足尾町の国民宿舎かじか荘は、人気のはちみつ3種をセットを新発売。かつて荒廃した足尾の山々は今ではニセアカシアのハチミツなどが特産品になっており、国民宿舎が地域の歴史と自然を活かしSDGsを意識した取り組みを進めている。
新商品「足尾産ハチミツ3種セット」
日本の山林は、江⼾時代は幕府や藩が所有し、その下の村々が管理を担っていたが、明治時代に⼊ると⼭林の所有や管理の仕⽅も変わり、全国の⼭々は伐採により荒廃が⽬⽴つようになった。
加えて足尾山は、江⼾時代から続く⾜尾銅⼭の鉱毒ガスやそれによる酸性雨で足尾町(当時)近辺の山は禿山となり、足尾鉱毒事件で有名な公害訴訟に発展。1897(明治30)年からは積極的な⼭林保護と復旧事業が始まったが、有害なガスのために植え続けてきた⽊々も枯れ果て、木々のない⼭々に⾬や⾵が当たることで岩肌に残っていた⼟も洗い流され、⼭肌があらわになっていった。
まずは植樹を成功させて⼭々に⼟を留めることが求められるようになり、このガスに強いといわれる樹⽊や草を探しては植えてみるという試⾏錯誤が繰り返されたが、⼟が⼭にとどまらず鉱煙で枯れてしまった。
⻑年にわたり⼭林の復旧の壁となっていた鉱煙の問題。植樹をしても枯死するため、効果が望めず、1955(昭和30)年ごろに⾄るまでは⼟を⼭に留める作業が中⼼に⾏われていた。ところが、1956(昭和31)年になると新たな技術の導⼊により鉱煙の回収技術も上がり、その悪影響も激減する⾒通しがたち、これまでの試⾏錯誤の失敗により停滞していた復旧事業が再開。鉱煙に強いといわれる樹⽊や草を探してきては植えてみるという試⾏錯誤が再び始まった。
この過程で鉱煙に強いとされたニセアカシアやリョウブなどの苗⽊が植えられ、イタドリ、カヤ、ヨモギなどの草の種も蒔かれ始めた。現在ではこれらの草⽊が⾜尾の⼭々に繁茂しており、岩がむき出しとなっていた⼭肌を覆い、今後の⼭林復旧事業のための⼟台の役割を果たしている。
木を戻す先人たちの足跡を土台に、百花が咲き乱れる足尾の山々に戻りつつある中、ニセアカシアから蜂蜜を採って味わう取り組みが始まっている。
国民宿舎かじか荘が⼿掛けるはちみつの新商品「足尾産ハチミツ3種セット」は、アカシア、とち、百花を可愛い小瓶に入れたセット。「何も足さず、何も引かず」をコンセプトに、非加熱で製造。限定20セットのみ。
2021度分のハチミツは5月下旬頃から販売予定。各50グラム入りで1925円(税込)。
このほか、ニセアカシアのハチミツの単体販売やハチミツソフト、ハチミツ⼊りフェイシャルマスクなどを販売している。
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