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「百年小麦」ブランド化に挑戦 地元食文化の継承へ 群馬県館林市2021年3月19日

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群馬県館林市は、地元の食文化の継承と百年後へ小麦文化をつなげるため、邑楽館林産100%の小麦「百年小麦」のブランド化に向けてスタート。クラウドファンディングによる百年小麦の発信や「百年小麦」を使った商品開発などその取り組みを紹介している。

給食で提供された百年饂飩を食べる児童給食で提供された百年饂飩を食べる児童

「百年小麦」は邑楽館林産100%の小麦を、館林で創業した日清製粉の協力のもと製粉し、2017年に『麺のまち「うどんの里館林」振興会』が商品化したもの。邑楽館林地域に百年以上続く麦の歴史と文化の素晴らしさを百年先まで続くことを願って「百年小麦」と名付けられた。

同市は、百年小麦を新たな館林の食のブランドとして位置付け、ブランド力を高める取り組みとして2019年に「百年小麦ブランド化委員会」を組織化。主に、麺のまち「うどんの里館林」振興会(うどん部会)、館林菓子工業組合(菓子部会)、たてラ倶楽部(ラーメン部会)で構成され、各部会で「百年小麦」を使った新商品の開発や発売を進め、百年小麦のブランド化に向け取り組みを始めている。

今年度は、新型コロナウイルスの影響もあり、様々なイベントが中止や延期となるなか、百年小麦の認知度向上に向け様々な事業を行っている。その一つがクラウドファンディングを通した百年小麦の魅力及び小麦文化の発信と共感作り。

舘林市では『麺のまち「うどんの里館林」振興会』が主体となり地元の子どもたちにうどんに慣れ親しむ食育事業を2012年度から実施しているが、新型コロナウイルスの拡大が会員店舗の経営を直撃し、これまでの賛同店舗の会費による事業実施が困難となった。そこで食育事業の継続を目指し、1月8日~28日までクラウドファンディングで広く支援を募ったところ、目標額50万円に対し達成率200%となる支援額100万円に到達した。

同市は、クラウドファンディングで最も大切にした「地域の食育事業を通じて子どもたちに小麦文化を伝えていきたい」という想いが館林市民や地域外から共感を呼んだことが成功につながったと考えている。

クラウドファンディングの目標額達成を受け、3月8日と10日に、市内の認定こども園で百年小麦を30%以上使った「百年饂飩(うどん)」を振る舞ったところ、子どもたちがうどんを美味しそうに頬張る笑顔が印象的だったという。同市では今後も館林の小麦文化、麦食文化を後世に伝えていく取り組みを進めていく。

地元の商工高校の生徒が百年小麦の播種を体験地元の商工高校の生徒が百年小麦の播種を体験

館林の小麦文化をシビックプライドに

子どもたちを巻き込んだ小麦文化を広めるもう一つの取組として、「給食導入」と「高校生との連携」がある。今年度は、市内小中学校の給食に百年小麦を使用した百年饂飩が初めて提供された。

多くの児童生徒が「百年小麦」を知らなかったが、地元産の百年小麦を味わう機会を提供することでシビックプライドを育み、また多くのメディアに取り上げられたこともあり百年小麦の地域外への認知度が高まった。給食提供時には、児童生徒を前に百年小麦や百年饂飩、小麦文化について百年小麦ブランド化委員会の委員が説明したことにより、味覚だけでなく聴覚からも百年小麦について知る機会となった。

さらに、地元の商工高校の生徒と百年小麦ブランド化委員会の委員が、小麦の播種や麦踏みを一緒に体験。市内では初めての取り組みで、生産から収穫までの過程を学ぶことで、百年小麦に対する愛着が一層高まった。

一方で商工高校とタッグを組み、高校生の視点を取り入れて百年小麦を使った新たなメニューを考案し、地元菓子店と協力して菓子の校内販売会を開催。「百年小麦の魅力や館林市の小麦文化を広く伝えていきたい」という地元高校生の気持ちが伝わってくる取組みで大盛況となった。また、ローソンとも連携し、百年小麦を使ったベーカリーを共同開発。関東甲信越のローソンで販売したことで、多くの人に百年小麦を知ってもらう機会となった。

新たな商品開発

新型コロナウイルスの影響で様々な活動が中止や延期となるなか、百年小麦を使用した商品の開発も進んだ。特に、ラーメン部会では、館林のラーメン店16店舗で構成される「たてラ倶楽部」で新たに開発した百年小麦配合麺を各店自慢のスープで味わい、"つるつる"で"もちもち"な百年小麦のポテンシャルを発揮したラーメンを堪能するというもの。昨秋に百年小麦を使用した特製麺を1日限定で「たてラ倶楽部」4店のイベントとして開催した。

さらに、百年小麦ブランド化委員会のラーメン部会と菓子部会では、合同で「百年小麦尽くしのコースメニュー」の開発に着手。ラーメンに合うデザートについて、地元商工高校生徒の案から試作品が生まれ、菓子部会が試作を進めた。

来年度で3年目を迎える百年小麦ブランド化委員会の活動。組織の体制づくりや商品開発に重点を置いた1年目、食育事業など地域内での事業展開により足元を固めた2年目に続く今後について、同市は「ブランド化へ向けた階段を着実に上り、地域内外に小麦文化及び粉食文化が浸透するように活動の充実化を図っていきたい。館林出身の市民が日本全国どこにいても『私の出身地、館林の小麦は本当におすすめです!』と胸を張って言えるような文化を創り上げていけるようこれからも取り組みを進ていく」としている。

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