奈良県吉野の流通拠点「YOSHINO WING」がワンストップで吉野材を提供2021年9月17日
良質な材木産地の奈良県吉野地域で、木材流通の拠点を担う吉野製材工業協同組合は、マーケティング拠点「YOSHINO WING」を設立。卸売りだけでなく、直接販売を始め、調達から製造・販売までをワンストップで提供する体制を強化し、従来の流通構造からの脱却を図る。
日本で最も古い植林の歴史をもつ奈良県吉野地域。「吉野材」と呼ばれるスギやヒノキは、日本を代表する良質な木材として知られるが、和室の減少などにより高級建築材として取り扱われてきた吉野材は、一般的な木材以上に価格が下落。作業員や山守の高齢化により山の荒廃も進み、吉野材に関わる経営は厳しい状況にある。
吉野材流通量の約3分の1を取り扱う吉野製材工業協同組合では、吉野林業の課題を解決するため、マーケティング拠点「YOSHINO WING」を設立。問屋経由の流通構造に加え、多用途に供給できる流通構造の確立し、付加価値・新価値の創出を行い、新たな領域へ挑戦る。
環境変化にスピーディに対応するため、「YOSHINO WING」は、製品の企画や木材の調達から、製造・物流・マーケティング・プロモーション・販売までを一貫して手掛けるビジネスモデルを確立。これまで吉野材を活用したくても情報を得られなかった施主や建築関係者、国産材に関心を持つエンドユーザーのニーズに対して、新たな販路を開拓する。
新型コロナウイルスの影響などにより、アメリカの新築住宅需要が高まり、世界中で木材が高騰かつ品薄となるウッドショックが起きている。日本では住宅の建築等に使われる木材の約7割が輸入材であることから、輸入材の価格高騰をきっかけに、国産材への注目が集まっている。
また、国内でもテレワークの普及に伴い、郊外での戸建て住宅建築の増加に加え、比重が高くなったおうち時間での快適さを一層に求めて、間取だけでなく室内の空気をつくる安心安全な自然素材や高級家具への関心が高まっている。
「YOSHINO WING」は、直接木を届けることにより、「確かな品質」「豊富なバリエーション」「柔軟なオーダーメイド」を提供。例えば、エンドユーザーからの相談に対して、実際に吉野材を見てもらった後に、施工業者を選別するなど逆指名もできる。顧客のニーズに対応することで、日本のモノづくりと吉野材の高付加価値化を推進し、ウッドショック後を見据えて、透明性のある木材サプライチェーンの構築を図る。
今後は、幅広い顧客に対してさらなる付加価値の創出に取り組むため、吉野材の魅力や伝統建築の職人技術に触れてもらう「吉野材体験イベントと商談会」などの開催を予定している。
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