ショウジョウバエ系統の凍結保存法を開発 筑波大×農研機構×京都工芸繊維大2021年10月13日
筑波大学、農研機構、京都工芸繊維大学の研究グループは、ショウジョウバエ系統の凍結保存法を開発に世界で初めて成功。この技術開発により、生命科学と医療・創薬分野の研究の持続的な発展を担保できるようになると期待される。
同研究で開発したショウジョウバエ系統の凍結保存法
ショウジョウバエは、生命科学研究におけるモデル生物として、多くの突然変異系統が作出され、さまざまな生命現象における遺伝子機能の解明に役立っている。また、ヒト疾病モデルとして、医学や創薬の分野でも頻繁に利用されている。しかし、ショウジョウバエ系統は継代飼育によって維持されており、時間と共にゲノムに変異が蓄積し、系統が変化してしまうため、研究に使えなくなることがあった。このリスクを回避するため、系統を長期間保存できる凍結保存法の確立が待ち望まれていた。
同研究では、卵や精子の元となる始原生殖細胞を、保存したい系統の卵(胚)から、ガラス針を用いて集め、液体窒素中で凍結保存する方法を開発し、ショウジョウバエ系統を凍結保存することに世界で初めて成功。凍結保存した始原生殖細胞は、融解した後、妊性のない別の胚に移植すると正常な卵や精子に分化し、それらを受精させると、もとの系統と全く同じ子が得られる。この技術は、京都ショウジョウバエストックセンターに技術移転され、ショウジョウバエ系統の凍結保存の実用化が、世界に先駆けて開始。この技術開発により、生命科学および医療・創薬分野の研究の持続的な発展を担保できるようになると期待される。
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