農福連携 大阪府堺市の幻の純米吟醸酒「金の鳩」 オンライン試飲会開催2021年12月8日
農福連携を通して日本酒をつくる金の鳩プロジェクト(大阪府堺市)は12月18日、幻の純米吟醸酒「金の鳩」 のオンライン試飲会を開催する。
「金の鳩」は、大阪府堺市にあった江戸時代創業の益田酒造が醸造していた日本酒。地元の神社・百舌鳥八幡宮の御神酒とされたこともあるが、第二次世界大戦の影響もあり、昭和22年に操業停止するとともに、堺市の伝統銘柄「金の鳩」も失われてしまった。しかし、復活に向けた取り組みが就労支援施設「ヤオヨロズヤ」の増田靖代表を中心に行われ、このほど試飲会を行うまでにたどりついた。
純米吟醸「金の鳩」は、堺市上神谷で農薬・化学肥料を一切使わず育てた「山田錦」を100%使用。国内総生産量に占める有機米の割合は、わずか0.12%であることからも希少なお米で醸した純米吟醸酒といえる。この山田錦を育てたのが、就労支援施設「ヤオヨロズヤのメンバー」。障がい者が支援されるだけでなく、強みを活かして活躍し、自信や生きがいを持って社会とつながることを目指す同施設は、それを実現できる最高の事業として「有機栽培米を使った日本伝統の酒づくり」に取り組んだ。
ヤオヨロズヤの米栽培の様子
実際に、視覚障害のあるメンバーが誰よりも田植えが上手かったり、社会生活のなかで自信を失くしていたメンバーが、周りに声をかけ、率先して雑草を抜いたりと、米づくりをするなかでは、健常者の人々を、施設利用メンバーがサポートする場面も多くみられた。それぞれの強みを発揮しながら、地元の子どもたちも交え、みんなで泥だらけになって稲を育てた。
益田酒造の曾孫・益田美穂さん
そのお米で日本酒を造るため、ヤオヨロズヤの増田代表が模索していたところ、出会ったのが益田酒造の曾孫にあたる益田美穂さん。イタリアで暮らしながら、地元・堺の歴史や文化を世界に発信するために「金の鳩」ラベルのお酒を復活させていた。「堺と縁深い金の鳩を、ぜひ堺で育てた米で」という両者の思いから、大切に育てた米を託す酒蔵として、奈良県橿原市今井町で約280年つづく河合酒造の16代当主・西川暁子社長に縁がつながった。
希少な有機栽培米で純米吟醸酒を造り、伝統銘柄「金の鳩」を継承するプロジェクト。とんとん拍子に進むようにみえたが、収穫まであと1週間という時に、日本酒造りが絶たれるほどのトラブルが発生。西日本を中心に大被害を及ぼした病害虫のウンカが、ヤオヨロズヤの畑を襲った。1200キロの収量を見込んでいた稲は次々に枯れ、無事な稲を救おうとメンバー総出で手刈りしたものの、収穫できた米はほんのわずか。「これではとても日本酒造りなんて...」「せっかくみんなで育てたのに...」と誰もが途方に暮れた。しかしそのとき、手を差し伸べたのが地元の農家。農業の素人であるヤオヨロズヤのメンバーが毎日、懸命に米を育てる姿を見て、日本酒造りのための山田錦を分けてくれた。
人の温かな想いと縁がつながって新たに生まれた幻の純米吟醸酒「金の鳩」。スッキリとした飲み口と繊細で優しい甘さが楽しめ、お造りや煮物と一緒に楽しむのがおすすめ。日本酒を通じて農業・障がい者福祉・地域社会を応援する、新しい蔵開きとなる試飲会「農業・福祉を応援 幻の純米吟醸酒「金の鳩」オンライン試飲」の参加申し込み締め切りは、12月12日23時59分まで。
◎試飲会概要
日時:12月18日 15:00~16:30
申込締め切り:12月12日 23:59まで
参加方法:オンライン(Zoom)で開催
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