「京丸園」の農福連携が絵本に『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』発行2021年12月15日
静岡県浜松市のユニバーサル農園「京丸園」の農福連携の取り組みを描いた絵本『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』(合同出版刊、1800円・税別)が12月3日に発売された。
『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』
京丸園は、「芽ねぎ」などの水耕栽培で400年を超える歴史ある農園。同書は、農園をもっと進化させたいと考えていた13代目の鈴木厚志社長のもとへ、近くにある特別支援学校の先生が、訪ねてきたことをきっかけに始まる農福連携の取り組みを親しみやすい絵本で紹介している。
「うちの学校の生徒をやとってもらえないでしょうか?」。特別支援学校の先生の申し入れに、これまで障害者とまったく接点のない生活で、障害者と話したことも意識したこともない鈴木社長は、「何と言って断ろうか...」と考えた末、職人技が必要な芽ねぎの栽培の過程を先生に見せた。
特別支援学校の先生は、その作業を見ると鈴木社長の思わくどおり、「これはうちの生徒には無理ですね...」と、帰っていく。そして1週間後、再び農園にやってきた先生は、「これ、使えんでしょうか?」と持ってきたのは下敷き。その下敷きを使い、先週見た芽ネギを植える職人技を1回でやってしまった。鈴木社長は驚き、「その仕事ができる人を探すのではなく、その人ができる工夫を考えればいいんじゃないか...?」と思いついたことが、障害のある人を雇用するきかっけとなった。
下敷きマジック
このほか、あてにされていた仕事がうまくできなかった障がい者のAさんは、ゆっくりと丁寧に、ビニールハウス内の小さな草を取り除く作業を続けた結果、害虫が減り、農薬散布が軽減。鈴木社長は、「ほうき一本で農薬の回数が減るのであれば、掃除機で虫を直接捕まえればもっと農薬を減らせるかもしれない」と考え、作業スピードがゆっくりであればあるほど虫が捕れる「虫トレーラー」を開発。動作がゆっくりの人にお願いしたい仕事ができ、ハウス内は、害虫がいなくなり、農薬を使わなくなった。また、指示を具体的に与えれば、きっちりと仕事をこなす障がい者の様子を見て鈴木社長は「私たちが新しいやり方を探して変わっていけば、もっと多様な働き方が見つかって、もっとたくさんの人と一緒に仕事ができる」と頭のスイッチが切り替わっていく。気がつけば4分の1が障害のある社員になっていた京丸園の取り組みを絵本・紙芝居作家で挿絵画家の多屋光孫さんの絵と文章ででわかりやすく伝えている。
同書の発売を記念して12月17日、オンラインイベントを開催。「めねぎ農園」代表の鈴木社長と著者の多屋さんなどを招き、農園の話や絵本に出てくるシーンの舞台裏など障がい者雇用に関して考える。19時開始で参加チケットは1000円。
京丸園のメンバー
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