国産鶏種「はりま」200万羽達成記念フォーラムをオンラインで開催 生活クラブ2022年2月7日
生活クラブ連合会は1月31日、日本国内で育種改良され、種の維持管理ができる国産鶏種「はりま」の年間導入羽数が、プロジェクト開始当初の目標達成に迫っていることから、「国産鶏種"はりま"200万羽達成記念フォーラム」をオンラインで開催。生産者と組合員の160人がオンラインで集まり、関係する参加団体が、それぞれの立場から「はりま」の現状について報告した。
「国産鶏種"はりま"200万羽達成記念フォーラム」を実施
生活クラブでは、日本国内で育種改良され、国内で種の維持管理ができる国産鶏種「はりま」(ブランド名称:丹精國鶏)を取り扱っている。国産鶏種は外国鶏種と異なり、日本の気候風土や嗜好にあった味などを目指した育種改良、食料自給率の向上に貢献できるなど多くのメリットがある。種鶏・原種鶏の段階から国内で育種改良された純国産鶏種の自給率は、農水省調べによるとわずか1~2%。国内で自給できる種の維持と開発を目的に、育種から生産、加工、そして消費までの各ステージに関わる団体が、「はりま振興協議会」を形成し振興をすすめてきた。生活クラブは「はりま振興協議会」のメンバーで、主に消費のステージを担っている。
当日の参加団体は、秋川牧園、群馬農協チキンフーズ、オンダン農業協同組合、全農チキンフーズ 、家畜改良センター兵庫牧場、JA東日本くみあい飼料、生活クラブ連合会の7団体。はりま(丹精國鶏)の育種改良を担う家畜改良センター兵庫牧場は、はりまの育種改良の現状と今後の方向性について、種は継代を重ねるうちにどうしても当初の形質が少しづつ失われていくため、血縁関係の異なる系統種を導入し、リフレッシュのための世代交代を図りながら継続して改良すると説明。また、近年の鳥インフルエンザの発生頻度が上昇していることを受け、その発生に備えて種卵をバックアップ用に保存し、種が絶えないよう対策をとっているという報告があった。
ミートトップ 食肉部SV兼バイヤーの遠藤浩二さんからは、はりま(丹精國鶏)の小売りでの流通、特に各店舗における販売促進の工夫、規格の設定の話などについて、「価格設定は変えずに販売しているが、品質の確かさと店舗の努力により売れ行きは堅調」と報告。店頭では、一般的な若鶏や銘柄鶏の扱いがあったが、はりまがそのラインナップに加わることにより、2種の間の位置づけとなり、消費者のニーズに沿った品目展開が可能になったという。
また、秋川牧園の秋川正社長は、はりま(丹精國鶏)の肉用鶏としての生産から精肉への加工について報告。生育の全期間で無投薬飼育を実現するはりまの餌、鶏舎の管理など、健康な鶏を育てるための様々な工夫がなされている。その工夫の一つとして、使用済の鶏舎の敷料を発酵させ、発酵の熱で殺菌すること、敷料に熱に強い乳酸菌などを加え、有用な菌の力を借りて鶏の生育環境を整えていると説明。生産技術の工夫と向上と品種改良により安定的な生産と出荷ができるようになったと報告した。
一方、生活クラブとしての鶏肉の取組について、生活クラブ連合会 連合消費委員会の大久保明美委員長は、精肉や加工品として利用する消費者の視点で「普段食べているはりまはどんな育てられ方をしているのか、生産現場から加工場まで確認したことがあり、命をいただいていると実感しながら消費している。本日のフォーラムで、そのおいしさは種の開発から生産にかかわるすべての人たちの熱意によるものなのだと実感した」と伝えた。
豚肉における平田牧場との取り組みなど、生活クラブにおける食肉の取り組みの中でも、鶏肉は後発。その理由について生活クラブ連合会の伊藤由理子会長は「当時流通していた鶏肉の98%が外国鶏種という状況で、生活クラブが共同購入という食べる力を結集し、食の問題解決に取り組む切り口が見いだせなかったため」と説明。しかし、国産鶏種の「はりま」と出会ったことで、普及の3つの意義である(1)種まで含めた肉養鶏の自給率の向上、(2)国内独自の消費者ニーズへの対応、(3)日本の気候風土に適した鶏の開発、を見出し、消費者として共感。生産者とともに市場化を目指そうと鶏肉の取扱いに進むことになったという。
伊藤会長は「実験取組みを経て26年が経過し、ついに200万羽を達成することになったが、これで終わりというわけではない。さらなる振興に向けて進む必要があり、そのためには生活クラブの組合員以外にも食べる人を増やすことが必要。精肉として、加工品として、それから料理屋さんで提供するなど、まだまだやりたいこと、できることはいろいろある。本日学んだことを生活クラブの皆で共有し、関係する皆様と一緒に取り組んでいきたい」と話した。
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