2021年の代替タンパク質の世界市場規模 4861億300万円と推計 矢野経済研究所2022年3月2日
矢野経済研究所は、国内外における代替タンパク質(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク)市場について調査。市場規模はメーカー出荷金額ベースで、4861億300万円と推計している。
同調査は2021年9月~2022年2月、酒類メーカー、代替タンパク質参入事業者、関連団体等を対象に、同社専門研究員による直接面談などで行われた。
国連の世界人口推計(中位推計)によれば、地球上の人口は2020年に77.9億人に達している。2030年には約85億人へ増加し、2040年には約92億人、2050年には約97億人へと急激に増加する見通し。
農林水産政策研究所「2030年における世界の食料需給見通し」によると、2017~19年の需要と比較して、2030年の世界の食肉需要は増加傾向での推移が予測される。牛肉では約0.62億トンから約0.71億トンへ増加し(2017~19年比15.7%増)。豚肉では約1.11億トンから約1.28億トンへの増加(同14.9%増)。鶏肉では約1.00億トンから約1.21億トンへ(同21.6%増)増加することが見込まれる。
世界の人口増加に伴い、食肉需要は増加している。しかし、畜産由来の温室効果ガス排出や飼料・水資源の大量利用など、畜産業が地球環境に与える影響が背景となり、将来的に従来の動物由来の食肉のみで需要を満たすことが困難になる可能性が出てきている。こうしたなか、豆類や野菜などを原材料とした植物由来肉、動物細胞を培養して製造する培養肉が注目されている。加えて、水産物の持続可能な需給バランスの観点から、植物由来シーフードや培養シーフードなど、代替シーフードの研究開発が進んでいる。
大手食肉企業・大手食品企業の進出
アメリカでは、スタートアップ企業の成功から植物由来肉のブームが始まり、企業の市場参入が活発化した。ブームの背景には、食味の向上、健康志向、持続可能な食糧生産への配慮や関心の高さなどが挙げられる。これを受け、2019年頃からは大手食肉企業や大手食品企業も植物由来肉市場へ進出し、2021年も引き続きこうした動きが活発化している。
日本においても、植物由来肉では特に2019年から2020年にかけて新商品の発売が活発化し、食品大手企業・食肉大手企業の参入が相次いでいる。2021年も継続して新商品の発売や商品ラインナップ拡充が進んでおり、一般消費者向け商品として小売店での売場整備が進められているほか、外食チェーン等への業務用商品の導入が活況。加工原料生産から食品加工、卸、小売や外食においても、植物由来肉への注目度が高まっているとみられる。
将来展望
植物由来肉では、すでに一定規模の市場を持つアメリカ、ヨーロッパが今後も順調な伸びを見せると考えられる。加えて、中国などアジア圏では健康志向の高まりとともに、植物由来肉の技術も飛躍的に進歩しており、今後は伸長するとみられる。日本では、小売店舗における商品展開や外食へのメニュー導入などが進むことで、消費者の認知度が高まるとともに、JAS規格化による導入促進、SNSを活用したマーケティングなどが追い風となり、需要が伸長する見通し。
培養肉では、2020年12月にシンガポールで初の上市が行われた。スタートアップ企業を中心とした研究開発が、アメリカ、ヨーロッパ、イスラエル、日本などで行われている。一方で、生産コストの高さが課題とされており、コスト低減に向けた生産技術開発や効率化について、継続的な取り組みが進むとみる。
こうしたなか、2025年の代替タンパク質の世界市場規模(植物由来肉・植物由来シーフード、培養肉・培養シーフード、昆虫タンパク計)はメーカー出荷金額ベースで、1兆1919億6400万円を予測。その後も拡大基調で推移し、2030年には3兆3113億8900万円になるものと予測している。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日