2021年度の国内防災食品市場 前年比121%の313億円の見込み 矢野経済研究所2022年3月11日
矢野経済研究所は、国内の防災食品市場について調査。市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比111.5%の258億5400万円と推計している。
同調査は2021年11月~2022年2月、防災食品関連企業の食品メーカー、防災用品専門商社や、行政、医療機関、民間企業などを対象に、同社専門研究員による直接面談などで行われた。
同調査によると、2020年度の国内防災食品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比111.5%の258億5400万円と推計。2021年度は東日本大震災から10年の節目となり、様々なメディアで防災特集が組まれ、災害の脅威を振り返ると共にあらためて関心を高めるきっかけにもなった。
防災食品市場では、5年を賞味期限とする商品が震災発生から2回目の入替え時期を迎えたことで、2021年度は通常よりもまとまった需要が見込まれることから、2021年度の同市場は同121.0%の312億8300万円の見込み。
なお、販売チャネル別にみると、防災食品市場では小売業を経由せずに防災専門商社等が直接、自治体や大手民間企業、病院・施設などの末端顧客へ販売するなどの特色がみられる。ただ近年、在宅勤務への切替えに伴い、新たに家庭での備蓄需要も発生しており、前回調査時(2019年度)に比べ一般消費者向けにネット通販がシェアを高めている。防災食品の末端販売チャネル別構成比(2021年度見込)は、高い順に商社(直販)、ネット通販、スーパー・量販店となった。
病院・施設で災害時の具体的な対策が存在するのは68.0%
この調査に関連して、1月~2月に東京(23区)・政令指定都市(20市)・中核市(62市)の地方自治体、大手民間企業、病院・施設(特養・老健)の計151法人を対象に防災食品備蓄需要等に関する法人アンケート調査を実施。
BCP(事業継続計画)に基づく災害時の具体的な対策の有無について尋ねたところ、民間企業では88.2%、自治体は82.0%が対策を実施していると回答したが、病院・施設では68.0%にとどまった(単数回答)。災害時の対策では民間企業や自治体が先行する一方、病院・施設などではこれから対策を検討するところも少なくないという結果になった。
内閣府は、国民にローリングストック(災害時に備えた食品備蓄方法のひとつ)を提唱している。自治体においても、各地域の現状に合った災害発生時のガイドラインや帰宅困難者対策条例を制定し、企業や施設などに非常用物資の備蓄を求めている。また、入札により備蓄量や種類を増やす意見が散見される一方、地域の食品メーカーやスーパーマーケット等とも物資協定を結び、災害時には飲料やおにぎりなどの調達を受ける体制を強化している。
しかし、地方の中枢・中核都市の民間企業等では帰宅を優先し、備えのないケースも少なくない。大規模な災害発生時には、備蓄が不足する可能性も見込まれ、防災食品は備蓄の啓蒙と共に全国的な普及の底上げが必要と考えられる。2026年度の防災食品市場規模は、319億900万円(2021年度比102.0%)と微増を予測している。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日