「農園型障害者雇用」に7割の障害者が否定的 障害者雇用の実態調査2022年5月24日
KindAgent株式会社は、障害者雇用に農業を取り入れるなど多様化する障害者雇用の実態を調査するため、「障害者雇用の実態調査」を実施。民間企業で働く男女20~50代の身体・知的・精神障害いずれかの障害のある当事者1000人を対象に、インターネット調査を実施した。その結果、雇用率充足を目的とした「農園型障害者雇用」におよそ7割の障害者が否定的な意見を持っていることが判明した。
障害者雇用率の充足を目的とした「農園型障害者雇用」について有効回答1017人のうち、402人がとても良くない取り組みと選択。次いで302人が良くない取り組みと選択した。良い取り組み、とても良い取り組みと選択した人は1017人のうち52人に留まった。
また、国や行政が勧める農業法人・農家の新たな担い手として障害者らを活用する「農福連携」については7割の障害者が良い取り組みと評価。アンケート結果では、有効回答1017人のうち、農福連携に対して、とても良い取り組みと思う人が386人で、次いで良い取り組みの選択が319人だった。
さらに、民間企業で働く障害当事者全体のうち、57%は一般枠で、43%が障害者雇用枠で働いている。民間企業で障害者枠で働く人の6割が転職を望まず、今の職場で今後も頑張りたいと回答。有効回答1017人のうち、今の会社で今後も頑張りたいと回答した人が610人で最も多く、次いで転職してキャリアアップ希望者が170人。転職してキャリアチェンジを希望する人が136人だった。農福連携の取り組みで働きたい人は25人に留まり、農園型雇用で働きたい人は10人だった。
民間企業で障害者枠で働く6割が転職を望まず、今の職場で今後も頑張りたいとの結果
調査の結果から、障害者から見た「農福連携」と「農園型障害者雇用」の評価に明暗が分かれ、国が勧める「農福連携」の取り組みについては、好意的に評価する人が多いことがわかった。一方、障害者雇用率充足を目的とした「農園型障害者雇用」は否定的な意見が多かった。
回答理由についても、「農福連携」は障害者の新たな活躍の場所として認識され、役に立つという好印象の回答が多く、「農園型障害者雇用」については、本来の障害者雇用の趣旨と異なる、雇用率のための数合わせの雇用という厳しい意見が多かった。
民間企業で働いている障害者のうち57%は、障害者手帳を持ちながら一般枠で働いており、43%が障害者雇用枠で就業しており、その6割が今の会社で今後も頑張りたいという志向性を持つ。その理由として、業務内容が自分に合っているなど「仕事面」を理由に挙げる人と、同僚に恵まれているなど「人的環境面」を挙げる人が多かった。
これらの結果を通して、障害者雇用として安定して働いている人は自分に合った仕事を理解し、実際に従事している人が多いことから、業務適正のマッチングが重要であるといえる。また、同僚や上司など人的環境についても、自身の障害や特性を理解してくれ、その人に合った配慮やコミュニケーションを受けられる環境であることが、安定した就業へのカギとなることも分かった。
以上の結果から、雇用における本質的な重要点は障害者雇用においても変わらない。障害者自身が自分の障害特性や業務適正をしっかりと把握し、企業側もその人を理解し、希望や業務適正のある仕事を任せ、必要な配慮事項を個別の適正に応じて行うという根本的なことが改めて大事になると考えられる。
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