ファストフードやテイクアウトなど64業態の外食産業 国内市場を調査 富士経済2022年6月14日
総合マーケティングビジネスの富士経済は、ハンバーガーやチキンが好調なファストフードや、巣ごもり需要やプチ贅沢需要を獲得しているテイクアウトなど国内市場を調査し、その結果を「外食産業マーケティング便覧2022No.1」にまとめた。注目市場として、新規企業の参入で市場活性化するハンバーガーは2022年市場見込(2021年比)4.4%増。また、非接触ニーズの獲得と積極的な出店で市場が拡大する回転ずしが同4.1%増の見込み。
この調査では、ファストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、交通機関、レジャー施設、給食の6カテゴリー64業態の市場について現状を捉え、将来を展望した。
2021年のファストフードは、テイクアウトやデリバリーと親和性の高いハンバーガーやチキンが続伸。また、テイクアウト需要を獲得したセルフ式うどんや、新規出店の強化からステーキの市場が回復したことなどにより、市場全体は前年比72%増となった。2022年は各社のテイクアウトやデリバリーへの継続的な取り組みに加え、イートインの需要回復がみられることから、市場は引き続き拡大すると予想される。
2021年のテイクアウトは、コロナ禍における巣ごもり需要やプチ贅沢需要の獲得や、前年と比較して百貨店などの出店先で客数回復がみられたことにより市場は微増。2022年はデリカショップや量販店デリカ、スイーツ店などで付加価値商品の展開により需要獲得に努める動きがみられるが、店舗数の減少やファストフードや専門店業態のテイクアウト参入による競合激化もあり、市場は微増にとどまり、2019年水準まで回復するには時間がかかるとみられる。
2021年のホームデリバリー・ケータリングは、宅配ピザは好調だったが、宅配ずしは前年の需要増加の反動や、他の外食業態によるデリバリー強化で競合が激化したことから前年割れとなり、法人需要が大きい仕出し弁当やケータリングも続落したことから、市場は縮小した。2022年は、新型コロナの感染状況の改善などから法人需要の回復が期待される仕出し弁当やケータリングは前年を上回り、市場は前年比71%増が見込まれる。
注目市場でハンバーガーは、新型コロナウイルスの影響で外食産業全体が苦戦を強いられる中、家庭内での喫食需要を獲得。このほか、非接触ニーズの高まりによりデリバリーやモバイルオーダーなどデジタルの活用が進んだことで、2020年に続いて2021年の市場も拡大した。2021年は、前年に引き続き各社のテイクアウトやデリバリー施策が進んだことに加え、居酒屋など異業種からの新規参入によりチキンバーガー専門店の出店がみられるなど市場が活性化し、二桁増となった。2022年も、テイクアウトやデリバリーのニーズは高く、各社が引き続き注力しているほか、上位企業やチキンバーガー専門店など積極的な出店戦略により、店舗数増加が予想されることから、市場は前年比4.4%増が見込まれる。
一方、回転ずしは、ラーメンやスイーツ、コーヒーなど他業態の主力メニューを提供したことで、客層や利用シーンが広がり市場が拡大。2020年は新型コロナの流行により、市場は縮小したが、以前から顧客の利便性向上のため配送レーンの設備やタッチパネル、皿回収などシステムのデジタル化が進んでいたことから、コロナ禍において非接触ニーズの獲得に繋がった。2021年は、料飲店など他業態からの需要シフトや新規顧客の獲得が進み、上位チェーンを中心に積極的な新規出店がみられた。このほか、非接触ニーズや客席配置の安心感からイートイン需要も堅調となり、市場は拡大。2022年は、引き続きコロナ禍での非接触ニーズが高いことに加え、時短営業の解除による客数の回復も期待できることから市場は前年比4.1%増が見込まれる。
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