ニシン残さいを有機肥料に 育成作物を子ども食堂へ無償提供 カリフッド2022年7月7日
カズノコ・ニシン加工のカリフッド株式会社(東京都大田区)は、SDGs達成に向けた事業の一環として、ニシン由来の有機肥料を北海道共和町の農業生産者に支給し、その有機肥料で育てた米や青果を全量買い取り、大田区の子ども食堂に無償提供する取り組みを開始。農業生産者との異業種連携による地域活性化と、子ども食堂の運営支援などをめざす。
水産加工業者である同社は、ニシン由来の有機肥料で育てた米や青果を全量買い取り、農業生産者との異業種連携による地域活性化や、児童への食事提供を担う子ども食堂の運営を支援。初年度となる今年はトウモロコシなど作物の収穫を8月上旬から予定している。
同社は北海道岩内町に岩内工場を構え、ロシアや道産などの抱卵ニシンの1次処理、カズノコやニシン製品加工、パッキングなどを手掛けている。ニシンがかつて肥料として日本の農業の生産性向上に貢献した点などに着目し、ニシン加工で発生した残さいや内臓などを原料に、道内の魚粉メーカーに委託して魚粉の製造を始めた。その魚粉を岩内町に隣接する共和町で有機農業を行う生産者4軒に支給。有機肥料として作物の栽培に活用してもらう。4軒の生産者はブランド米「ななつぼし」やトウモロコシ、赤肉系メロン、ジャガイモなどをこの有機肥料で育てる。
ななつぼしの収穫時期は9月下旬~10月上旬で、収穫量計画は1.8~2.4トン。8月上旬にはトウモロコシが100~200本と、メロンは100玉、ジャガイモは9月中旬に50キロの収穫を予定している。収穫した農産物は同社が全量を買い取り、さらに新しい肥料を使うため、不作などの問題が生じた場合は各生産者の所得を補償。買い取った作物を東京都大田区を中心に子ども食堂約30軒に無償提供する。
この取り組みは、子ども食堂の運営支援に加え、カズノコの親のニシンが肥料になっていることや、岩内、共和両町と大消費地とのつながりを創出。同時に原料の多くを海外に依存している日本の肥料の自給率向上の一助となることをめざす。また、将来的にこの有機肥料で育てる作物の種類と収穫量を増やすほか、道内の漁業者の周辺にあるカキやホタテ殻などの有機肥料原料の肥料化を通じて、海と田畑を結び付ける活動強化に努める。
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