福島の復興も後押し 外食産業バイヤーが農業関係者と産地見学・商談会2022年7月22日
大手外食産業のバイヤーと福島県の農業関係者が現地の見学などを通して交流する産地見学・商談交流会が7月21日、福島県郡山市などで開かれた。バイヤーたちは東日本大震災のあと農業の復興に向けて福島県内で整備された施設などを見学したあと、新たな福島ブランドの農畜産物の説明に耳を傾けた。
商談会の様子(福島県郡山市内で)
産地見学・商談交流会は外食チェーンなどでつくる日本フードサービス協会がJA全農などの協力で実施した。開催は3年ぶりで、震災からの復興支援の狙いも込めて福島県で開催された。参加したのは、大手外食産業14社のバイヤーら20人で、富岡町の業務用タマネギの選別場や郡山市のJA全農福島菌床しいたけイノベーションセンターなどを見学した。
菌床しいたけイノベーションセンター(郡山市内で)
同センターは、平成30年に設立され、福島県のしいたけ生産の中核施設となっている。福島県では、震災後、しいたけの販売が大幅に落ち込んだが、全農福島がしいたけへの放射性物質の吸収抑制策として菌床に鉱物のゼオライトを配合する方法を普及させ、新たに生まれたしいたけは安全安心な「愛情しいたけ」として平成25年から販売されている。同センターは年間160トンのしいたけ生産能力を持つとともに、ゼオライト配合の菌床を製造し、年間11万菌床を農家に供給している。同センターを訪れたバイヤーたちは、菌床で育った肉厚のしいたけを間近に見ながら「どんな食べ方が適しているんですか」などと質問し、担当者が「特有な旨味があり焼きで味わってほしいです」などと答えていた。
商談会では福島ブランドの農畜産物をアピール
このあと郡山市のJA福島さくら本店で商談会が開かれ、会場には全農福島県本部やJA、それに農業法人など14の商談用ブースが設けられた。はじめにJA全農福島の渡部俊男県本部長が「震災から11年が経過し、福島の農業もだいぶ復興し、他県にない取り組みを追加しながら福島のブランド再生に努力しています。ぜひとも採用に向けてご検討いただきたいと思います」と挨拶した。
参加した14社は、1ブース当たり7分間の限られた時間ですべてのブースを回って米や肉、野菜など福島の農畜産物のアピールに耳を傾けた。今年のタマネギ価格が高騰する中、タマネギを紹介するブースでは、全農福島県本部園芸部の担当者が出荷時期が北海道産が出回る前である点などを強調して売り込み、バイヤーがタマネギを使った料理を試食しながら耳を傾けていた。
約2時間に及んだ商談のあと、バイヤーを代表してモスフードサービスの伊東清さんは「産地見学をして、行政とJA、農業法人など生産者が力をあわせて復興に向けて素晴らしい取り組みをしていると感じました。コロナ禍や原料高など厳しい時代であるが外食を支えていただいているみなさまに感謝します」と述べた。
商談会に参加したバイヤーのうち「柿安本店」の担当者は「5、6年前から福島牛を年間10数頭、首都圏を中心に販売しており、改めてコミュニケーションをはかりました。しいたけなどこだわりをもってつくられている農産物が印象に残りました」と話していた。また、「リンガーハット」の担当者は「今年はタマネギの確保に苦労したので特にタマネギに興味がありました。まだ量的に少ないという課題があるようですが、取り組みが進むことを期待したいと思います」と語った。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】モモほ場で「モモ果実赤点病」県内で初めて確認 愛知県2024年12月27日
-
【特殊報】ブドウにシタベニハゴロモ 県内の果樹園地で初めて確認 富山県2024年12月27日
-
【注意報】かぼちゃにアブラムシ類 八重山地域で多発 沖縄県2024年12月27日
-
米輸入めぐるウルグアイ・ラウンド(UR)交渉 過度な秘密主義に閣僚も「恥」 1993年外交文書公開2024年12月27日
-
1月の野菜生育状況 さといも以外の価格 平年を上回る見込み 農水省2024年12月27日
-
(416)「温故知新」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月27日
-
東京23区の12月の消費者物価 生鮮食品の前年同月比は2桁増2024年12月27日
-
JA全農あきたがスマート農業研修会 農機・担い手合同は初2024年12月27日
-
【農協時論】石破新政権へ期待と懸念 地方創生自任し民主的な議論を 今尾和實・協同組合懇話会代表委員2024年12月27日
-
ブランドかんきつ「大将季」登場 銀座三越で「鹿児島の実り」開催 JA全農2024年12月27日
-
「鹿児島県産 和牛とお米のフェア」東京・大阪の飲食店舗で開催 JA全農2024年12月27日
-
【世界の食料・協同組合は今】化石補助金に対する問題意識(1)循環型社会 日本が先導を 農中総研・藤島義之氏2024年12月27日
-
【世界の食料・協同組合は今】化石補助金に対する問題意識(2)化石資源補助削減が急務に 農中総研・藤島義之氏2024年12月27日
-
【人事異動】日本農産工業(2025年4月1日付)2024年12月27日
-
TNFDを始める企業必見 農林中金・農中総研と共同セミナー開催 八千代エンジニヤリング2024年12月27日
-
「産直白書2024年版」刊行 記録的な猛暑で農業の難しさが顕著に 農業総研2024年12月27日
-
農林中金 医療メーカーのニプロとソーシャル・ローン契約 10団体とシンジケート団2024年12月27日
-
協同組合振興研究議員連盟に国会決議を要請 IYC全国実行委員会2024年12月27日
-
2025国際協同組合年全国実行委員会がSNSで情報発信2024年12月27日
-
インターナルカーボンプライシング導入 井関農機2024年12月27日