小笠原の鍾乳洞で見つかった海鳥の骨が"鳥類相変化"を明らかに 森林総合研究所2022年7月22日
森林総合研究所と小笠原自然文化研究所の研究グループは、小笠原諸島の鍾乳洞で6000年〜600 年前の海鳥の骨を多数発見し、人間が住み始める前の海鳥相を明らかにした。これにより、19世紀初頭に人間が住み始める前は、現在では絶滅の危機にある固有性の高い海鳥が主要な構成種だったことがわかった。
現在の南島。地上では多数のカツオドリが繁殖
同研究グループは、世界自然遺産に指定されている小笠原諸島の南島の鍾乳洞で多数の鳥類骨を発見し、人間が小笠原に住み始める前の海鳥相を明らかにした。その結果、現在の南島では繁殖が確認されていない固有性の高い海鳥類(オガサワラヒメミズナギドリ、オガサワラミズナギドリ、シロハラミズナギドリ)が、過去には最も普通に見られる種類だったことがわかった。
小笠原のみで繁殖するオガサワラヒメミズナギドリ(左)とオガサワラミズナギドリ
特に、オガサワラヒメミズナギドリとオガサワラミズナギドリは、現在はごく少数の島でしか繁殖しておらず、絶滅の危機に瀕している数の少ない鳥。南島をはじめとした小笠原の島々では、ノヤギやネズミなど外来種の駆除を進めた結果、オナガミズナギドリ、アナドリ、カツオドリなどの海鳥が増えているが、これらの種は在来種ではあるものの、もともと主要な種ではなかったことがわかった。
これらは世界的に広く分布する移動性が高い種で、増えやすい種類だけが増えており、人間の入植前の海鳥相とは全く異なる状態に変化していたことになる。
在来の海鳥の増加は自然再生の最初のステップとしては歓迎すべきことだが、世界自然遺産地域である小笠原では、人間の影響を極力排除した自然な生態系の再生が求められる。同研究グループは、少なくとも鳥類相については、固有性の高い元の姿を回復することを目標に事業を進める必要があるとしている。
同研究成果は、7月17日に『Restoration Ecology』誌で公開された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(163)-食料・農業・農村基本計画(5)-2025年10月11日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(80)【防除学習帖】第319回2025年10月11日
-
農薬の正しい使い方(53)【今さら聞けない営農情報】第319回2025年10月11日
-
食料自給率 4年連続38%で足踏み 主食用米消費増も小麦生産減 24年度2025年10月10日
-
【特殊報】トマト立枯病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内の園芸作物で初めて確認 高知県2025年10月10日
-
【特殊報】スイカ退緑えそ病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【特殊報】ショウガ褐色しみ病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【注意報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年10月10日
-
26%が米「買い控え」 米価上昇が家計に影響 住友生命「台所事情」アンケート2025年10月10日
-
コシヒカリ3万3000円に JA常総ひかりが概算金改定 集荷競争激化受け2025年10月10日
-
大豆の吸実性カメムシ類 甲信、東海、北九州一部地域で多発 病害虫発生予報第8号 農水省2025年10月10日
-
(456)「遅さ」の価値【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月10日
-
「いちご新規就農者研修事業」2026年度研修生、若干名を追加募集 JA全農岐阜2025年10月10日
-
10月23日に生活事業総合展示会 贈答品や暮らしを豊かにする事業を提案 JA全農いばらき2025年10月10日
-
本日10日は魚の日 岡山県産「冷凍かき」など90商品を特別価格で販売 JAタウン2025年10月10日
-
収穫が遅れた完熟の「黄かぼす 食べて応援企画」実施中 JAタウン2025年10月10日
-
国消国産の日 一斉行動日イベント「国消国産×防災」開催 JA全中2025年10月10日
-
「日産ビオパーク西本郷」と「小野田工場ビオトープ」が環境省「自然共生サイト」に認定 日産化学2025年10月10日
-
「えひめ・まつやま産業まつり-すごいもの博 2025-」に出展 井関農機2025年10月10日