指定外来種「スクミリンゴガイ」の繁殖 小学1年生が滋賀県北部で初めて発見2022年9月20日
滋賀県の指定外来種・スクミリンゴガイとその卵塊が、長浜市立木之本小学校1年生の上田幸之助さん(6)によって滋賀県北部で初めて発見された。
水族展示室「連れてこられた生き物たち」コーナー(常設展示)
発見者の幸之助は9月4日、父の外志幸さん(45)と一緒に水生生物を調べるため長浜市余呉町の余呉湖の湖岸を歩いていた時、水面に浮かぶ大きな生きた巻貝と近くの流木に付着したピンク色の卵塊を発見。琵琶湖博物館に写真を添付して問い合わせた結果、スクミリンゴガイとその卵塊であることが確認された。さらに、9月10日にも余呉湖に足を運んだ結果、卵塊を新たに3個発見し、この地域でスクミリンゴガイが繁殖している可能性が示唆される。
余呉湖は、これまで知られている最も近いスクミリンゴガイの生息地の彦根市から遠く離れており、人為的に持ち込まれた可能性も推測され、「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」に違反する。
同種は水田で栽培される稲だけではなく、他の草本植物に対しても食害のおそれがあり、新たに侵入した余呉湖周辺でも、生息範囲の拡大や個体数の増加により、生態的な影響や農業への被害が発生することが懸念される。外来種に対しては侵入初期の発見を含め早期対応が重要。毎日欠かさず生物を調査に励む幸之助さんによる今回の発見は、きわめて価値の高いものといえる。
今回、幸之助さんが採集した卵塊は琵琶湖博物館に提供され、同館の標本資料として収蔵される予定。また、外来生物の啓発の一環として、近年増加している外来生物として、3月14日から「連れてこられた生き物たち」のコーナーで、スクミリンゴガイのレプリカ展示を行なっている。
スクミリンゴガイは、南アメリカ原産の淡水生巻貝。1970年代に減反対策として水田養殖するため台湾から持ち込まれたが、販路が開拓できず各地で養殖が放棄されたものが野生化した。温暖な地域では増殖し、水田で栽培する稲を食害して深刻な被害をもたらしている。
滋賀県でも1980年代後半に南部の野洲市周辺で定着した後、隣接する近江八幡市や彦根市の水田地帯でも見られるようになり、2000年代後半以降、近江八幡市以南の琵琶湖岸から瀬田川にかけて分布を拡大。暖冬が続いた後の2020年には、県内でも同種による稲の食害が野洲市の水田で問題化した。
スクミリンゴガイの分布拡大を防ぐため、滋賀県は「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」で、2007年の条例施行時から、飼育に届け出が必要で、野外への放出が禁止される「指定外来種」に指定。また、2015年に国が発表した「生態系被害防止外来種リスト」では、「重点対策外来種」に選定されている。
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