準絶滅危惧種"オオミズナギドリ"頭部のない死骸 ネコが食べていた 森林総合研究所2022年9月29日
森林研究・整備機構森林総合研究所、東京大学、御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会の研究グループは、伊豆諸島御蔵島で、準絶滅危惧種オオミズナギドリの繁殖期に頻繁に観察される頭部のない死骸の傷口からネコのDNAを検出。ネコがオオミズナギドリを捕食していることを明らかにした。
御蔵島のオオミズナギドリ
世界中の島々で海鳥の繁殖期に、頭部のない海鳥の死骸が頻繁に観察されることが報告されているが、これまで捕食者を特定する決定的な証拠はなかった。オオミズナギドリの大規模繁殖地がある御蔵島では、屋外に定着したネコによって近年個体数が減少しているといわれている。
同研究では、御蔵島において日の出前後の時間帯から調査を始め、8個体のオオミズナギドリの死骸を発見。その傷口に残るDNAを分析し、捕食者の特定を試みた。その結果、8個体中6個体のオオミズナギドリの死骸の傷口からネコのDNAが検出され、ネコによる捕食が確認された。これらの死骸は調査前日には存在しなかったことを確認しており、直前の夜間にネコに捕食されたものと推定された。
同研究でDNA分析を行ったオオミズナギドリの頭部のない死骸
同研究の結果は、御蔵島に生息するオオミズナギドリを守るためにはネコ対策の推進が不可欠であることを示している。また、海鳥の捕食者を世界で初めての遺伝学的に検出した事例で、御蔵島だけでなく、ネコが定着する島々で世界中で確認される大型海鳥類の頭部のない死骸も、ネコによる捕食の可能性があることを示している。
同研究グループはこの研究により、海鳥繁殖地におけるネコによる海鳥への捕食リスクを「より多くの方に知ってもらえることを望んでいる」としている。
同研究成果は7月31日、国際学術誌『Mammal Study』に掲載された。
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