「物流2024年問題」 農産・水産物の輸送能力が32%不足と試算 国の検討会2022年11月17日
トラック運転手の労働条件改善に向けて労働時間の規制が改正される、いわゆる「物流の2024年問題」の影響について、「農産・水産品出荷団体」で、不足する輸送能力の割合が32.5%に上り、業界別で最も大きいとの試算が国の検討会で示された。産地と消費地が離れているため長距離輸送が多いことなどが背景にあり、輸送体制の見直しが改めて課題として浮かび上がった。
2024年4月に施行予定のトラック運転手の拘束時間の上限などを定めている改善基準告示改正によって、運転手の1年間の総拘束時間の上限は「原則3300時間」とされ、現在から216時間減る。この見直し伴う営業用トラック輸送に対する影響について、民間のNX総合研究所が試算したデータが11月11日に開かれた農水省などが参加する「持続可能な物流の実現の検討会」で示された。
試算によると、不足する輸送能力の割合は、業界全体で14.2%、不足する営業用トラックの輸送トン数で4.0億トンに上ると示された。業界別(発荷主別)では、「農産・水産品出荷団体」が32.5%と最大で、次いで「特積み」が23.6%、「元請の運送事業者」が12.7%だった。この試算の元となる厚労省の調査によると、「農産・水産品出荷団体」では、2019年度時点でドライバー全体の半数以上を占める53.4%で年間の拘束時間が3300時間を超えていた。
農産物などの場合、産地が北海道や九州などに多く、首都圏などの消費地と離れているため長距離輸送が多いことや、積載効率から段ボールが使用されることが多く、荷下ろしなどの時間も長くなることが背景にあるとされている。
同日の会合では、JA全農の担当者から青果物物流の合理化に向けた取り組みが報告され、2024年問題による走行距離の制限という課題がある中、JAや県域を越えた共同輸送によるドライバーの運行時間削減や、青果物のパレット輸送の拡大でドライバーの荷役作業時間の短縮を目指す取り組みを進めていることが報告された。
検討会は、年内に課題解決に向けた中間とりまとめを行い、来年中に最終とりまとめを行うことにしている。
重要な記事
最新の記事
-
【現地ルポ】福岡・JAみなみ筑後(2)大坪康志組合長に聞く 「農業元気に」モットー2024年7月18日
-
【注意報】野菜・花き類にオオタバコガ 栽培地域全域で多発のおそれ 既に食害被害の作物も 群馬県2024年7月18日
-
【注意報】過去10年間で最多誘殺 水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2024年7月18日
-
【注意報】平年の4倍 水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2024年7月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「財務省経済産業局農業課」て何?2024年7月18日
-
1970年代の農村社会の異質化の進展と農業【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第299回2024年7月18日
-
「JAサイネージ」 JA本店や金融店舗の情報発信にも利用拡大 あぐラボ2024年7月18日
-
【人事異動】JA全国共済会 新会長に坂本富雄JA埼玉県中央会会長(7月18日)2024年7月18日
-
スマホでより便利に「石川県Aコープ(ジャコム石川)アプリ」提供開始2024年7月18日
-
TOWING「宙炭」活用 根域制限栽培によるシャインマスカット栽培実証開始 日本農業2024年7月18日
-
バイトアプリで1万人採用 農中提携の農業人材サービス 労働力確保に寄与2024年7月18日
-
全国7000名以上の生産者の声を反映 生産コスト低減へ JAグループ宮城 共同購入コンバイン出荷式 JA全農2024年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 全県で多発のおそれ 秋田県2024年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年7月18日
-
【注意報】野菜、花き類にオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 過去10年最多の昨年を上回る誘殺 千葉県2024年7月18日
-
【注意報】ネギにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 千葉県2024年7月18日
-
【注意報】果樹全般に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年7月18日
-
農業用ドローン専用カスタマーサポート 繁忙期で対応拡大 ナイルワークス2024年7月18日
-
食物繊維が豊富なもち麦2種の品種登録 成果を紹介 生研支援センター2024年7月18日
-
AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」エントリー&ハイエンドモデル同時リリース2024年7月18日