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シカの増加がツシマヤマネコのマダニ媒介感染症リスクに関与 森林総合研究所2023年1月13日

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国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所は、長崎県の対馬で、ニホンジカの影響(食害や剥皮被害)が異なる5つの森林でマダニ類の生息数を調査。ニホンジカが多い森林ほどフタトゲチマダニが多く生息していることを明らかにした。

対馬で採集されたフタトゲチマダニの成虫オス(左)と若虫対馬で採集されたフタトゲチマダニの成虫オス(左)と若虫

対馬には天然記念物に指定される絶滅危惧種のツシマヤマネコが生息。最近捕獲されたツシマヤマネコが、マダニ媒介感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の抗体陽性であったことが2022年7月に環境省より発表された。

SFTSは、人だけでなくネコ科動物に高い病原性を持つことが知られており、ツシマヤマネコへの影響が懸念されるため、対馬におけるマダニ類の生息状況を把握することが急務となっている。

同研究では、対馬の広域に調査地を設けマダニ類の調査を実施。その結果、シカが多い場所で、SFTSウイルスを媒介することが知られているフタトゲチマダニが多く生息することが明らかになった。

同研究の結果は、シカの増加がフタトゲチマダニの増加を通して、間接的にマダニ媒介感染症の増加に関与している可能性を示唆。現在対馬では、農林業被害対策のために5頭/㎢を目標密度としてニホンジカの捕獲が行われているが、現状ではニホンジカの密度は70頭弱/㎢にもなると言われている。

対馬は本土地域と比べて他の宿主動物の種数が少なく、シカの過剰な密度をおさえることでマダニ類を減らせると考えられる。対馬では、農林業被害対策のためにニホンジカが捕獲されているが、感染症対策の観点からも、シカ対策を加速させることが望まれる。

同研究成果は、2022年11月25日に日本ダニ学会が発行する『Journal of the Acarological Society of Japan』に掲載された。

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