売上高8.7%増、営業利益は19.0%減 2023年3月期3四半期決算 デンカ2023年2月8日
デンカは2月7日、2023年3月期第3四半期の決算短信を発表した。
売上高は、3087億3300万円と前年同期に比べ247億5500万円(8.7%)の増収。利益面では、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を行ったが、スペシャリティー化進展のためのコスト増があり、営業利益は260億6000万円(前年同期比61億2100万円減、19.0%減益)となり、経常利益は237億3600万円(前年同期比63億6100万円減、21.1%減益)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、ポートフォリオ変革としてセメント事業からの撤退を決定したことから特別損失を計上し、88億4200万円(前年同期比140億6900万円減、61.4%減益)となった。
部門別の内容は次のとおり。
◎電子・先端プロダクツ部門
高純度導電性カーボンブラックは需要が堅調に推移したほか、販売価格の改定により増収となり、窒化ケイ素もxEV向けの需要が堅調に推移。一方、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは、パソコン、スマートフォンなどの民生向け需要の減少により販売数量が減少した。また、球状アルミナの販売も、xEVや5G関連向けは堅調に推移したが、民生向けの需要が減少し全体では前年を下回った。このほか、自動車産業用向けの金属アルミ基板"ヒットプレート"やLED用サイアロン蛍光体"アロンブライト"も前年を下回った。この結果、同部門の売上高は697億9100万円(前年同期比36億3000万円(5.5%)増収)となり、営業利益は137億5300万円と前年同期に比べ4100万円(0.3%)の減益となった。
◎ライフイノベーション部門
インフルエンザワクチンの出荷は生産能力を増強したことから前年を上回った。一方、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットおよびインフルエンザウイルスとの同時診断キットは、感染の拡大に加え、地方自治体を通じた高齢者施設への配布や家庭や職場でのスクリーニング検査など需要の裾野が拡大し出荷量が増加したが、保険点数引き下げにより価格が大幅に下落し減収となった。この結果、同部門の売上高は387億7400万円(前年同期比26億1600万円(7.2%)増収)となったが、営業利益は115億3800万円と前年同期に比べ4億100万円(3.4%)の減益。
◎エラストマー・インフラソリューション部門
ウクライナ危機に端を発した原燃料価格上昇の影響を大きく受けた。クロロプレンゴムは販売数量が前年を下回ったが、原燃料価格の上昇に応じた販売価格を改定を実施。このほか、肥料の販売は前年を上回り、特殊混和材の販売は概ね前年並みとなった。一方、セメントは原燃料価格の上昇に対して価格転嫁が一部にとどまった。この結果、同部門の売上高は945億3000万円(前年同期比169億9600万円(21.9%)増収)。2100万円の営業損失(前年同期は営業損失11億6400万円)となった。
◎ポリマーソリューション部門
スチレン系製品は原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めた。数量面では、ABS樹脂や透明樹脂は自動車減産や中国経済減速の影響を受け減少し、デンカシンガポール社のMS樹脂はテレビやモニター向けの需要が減少した。このほか、スチレンモノマーは定期修繕によるコストの増加があり、食品包材用シートおよびその加工品、合繊かつら用原糸"トヨカロン"の販売は前年を下回った。この結果、売上高は938億9900万円(前年同期比11億8200万円(1.3%)増収)となり、10億8700万円の営業損失(前年同期は営業利益62億6700万円)となった。
◎その他部門
YKアクロス株式会社等の商社は取扱高が概ね前年並み。この結果、同部門の売上高は117億3700万円(前年同期比3億2900万円(2.9%)増収)となり、営業利益は21億700万円と前年同期に比べ5億8000万円(38.1%)の増益となった。
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