地域別の青果市場価格と小売価格 予測技術を確立 「WAGRI」でサービス公開も予定2023年3月17日
株式会社ファームシップと豊橋技術科学大学が共同設立した「AI市場予測コンソーシアム」で、農林水産省の委託事業「国際競争力強化技術開発プロジェクト」における「革新的スマート農業技術開発」の一環として実施している「AI 市場予測を活用したスマート営農支援技術の開発」は、地域別の青果市場価格及び小売価格の予測技術を確立した。同技術は、「なにを」「いつ」「どこで」生産・販売すれば良いかの判断に役立ち、廃棄ロス・機会ロスの削減や価格の安定化に貢献する。今後、農研機構が運営する農業データ連携基盤(WAGRI)を利用したサービス公開を予定している。
図1:大田市場におけるレタスの市場価格の月単位予測
近年、国内農業においてさまざまな企業によるハードウェアやソフトウェアの開発、市場投入で、より効率のよい生産技術の開発が進んでいる。一方で、毎年のように野菜の価格が大きく変動し、問題となっており、農産物の生産や販売は天候や天災などに影響され、供給ばらつきが大きい。
生産者は、価格低下時には出荷しても利益にならず、価格高騰時には販売機会を逸失する、というリスクを常に抱え、安定した経営は難しい。また、価格高騰時には家計への影響も大きく、農産物を通年で安定した価格で販売するということが求められている。
そこで同コンソーシアムは、天候や青果の市場価格などのビッグデータを自動収集し、AIで機械学習させて解析し、市場価格を高精度に予測する仕組みを開発。従来の分析手法ではなく、LSTMなどの機械学習による新たな手法を用い、高い予測精度を実現した。
図2:東京地域のレタスの小売価格の予測
この開発で、全国10市場の各5品目に対応できる仕組みを構築。予測期間は、週単位と月単位に対応する。前者は翌週などの収穫・販売計画に、後者は播種や販売などの月次計画に活用していただくことを想定している。
さらに、市場価格だけでなく、より消費者に近い小売価格も高精度に予測(図2)する仕組みも開発。市場価格予測は過去の天候や市場価格などをインプットとし、未来の市場価格を予測する。
これに対し、小売価格予測は、総務省が行う小売物価統計調査の結果を利用し、地域別の小売価格を予測することで、小売業者も経験と勘に頼らずとも価格を予測でき、収穫や販売計画の立案に役立つ。その結果、生産だけでなく販売でも、機会ロスや廃棄ロスを減らすことにつながる。
今後は、同技術を広く活用できるよう、予測結果を農業データ連携基盤(WAGRI)上にAPIとして実装して公開。WAGRI会員は、APIを利用して、自らの事業に活かしたり、アプリケーションを作成したりすることができる。また、同APIを利用したサービスの公開も予定している。
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