ビフィズス菌BA2786 が睡眠を促進 名古屋大学と産学協同で確認 雪印メグミルク2023年5月11日
雪印メグミルクは名古屋大学との産学協同研究講座で、雪印メグミルクが保有するビフィズス菌「Bifidobacteriumadolescentis SBT2786」(BA2786)が睡眠促進作用を有することを、ショウジョウバエを用いた研究で発見。学術雑誌『Genes to Cells』で発表した。
睡眠不足とその蓄積である「睡眠負債」は、生活や仕事のパフォーマンスの低下、脳の働きの低下、糖尿病などの生活習慣病のリスクの増加など、心身に様々な悪影響を及ぼすことが知られている。また、日本人の睡眠時間は短い傾向にあるといわれ社会的な関心の高い健康課題の一つとなっている。
名古屋大学と雪印メグミルクは、2017年度に名古屋大学 大学院理学研究科付属ニューロサイエンス研究センターに産学協同研究講座「栄養神経科学講座」を開設。睡眠をはじめとする"脳や神経"に関する健康課題を解決するための研究を推進してきた。
これまでに、ヒトと共通する多くの行動・分子機構を備えているショウジョウバエを用いた研究において、雪印メグミルク保有の乳酸菌株「Lactiplantibacillus plantarum SBT2227」をエサとして与えることで夜間の睡眠を促進することを見出している。
さらに、ヒトや食品などから分離された乳酸菌・ビフィズス菌から、BA2786を最も睡眠促進効果を大きい菌株として選別し、BA2786の効果が加熱殺菌しても維持されることと、効果の一部はインスリン経路を介したものである可能性を明らかにした。
今回の研究では、ヒトや食品などから分離された多くの乳酸菌・ビフィズス菌について調べ、これまでに見出した乳酸菌株SBT2227(L.plantarum)よりも効果の大きいBA2786(B.adolescentis)を発見。その効果は哺乳類にも共通して存在するインスリン経路が関与している可能性が明らかになった。この結果は、BA2786がヒトにおいても同様の効果を示す可能性があること、食品やサプリメント等への加工においても利用可能であることを示唆する。
ショウジョウバエの行動は、単純なシステムで制御されているため、作用機序などの詳細な研究が可能。今後はショウジョウバエからヒトまで共通する睡眠の仕組みの解明、そこに対する乳酸菌・ビフィズス菌の作用の解明も期待される。また、睡眠ニーズを満たす商品の実用化による社会への貢献も期待される。
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