売上高5.9%増 経常利益は23.2%減 2023年3月期決算 デンカ2023年5月12日
デンカは5月11日、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の決算短信を発表した。
売上高は、4075億5900万円と前年同期に比べ227億900万円(5.9%)の増収。収益面では、原燃料価格の上昇に応じて販売価格を改定したが、主力製品の一部で販売数量が減少したほか、スペシャリティー化進展のためのコスト増があり、営業利益は323億2400万円(前年同期比77億9900万円減、19.4%減益)。売上高営業利益率は7.9%(2.5ポイント減)となった。
また、経常利益は280億2500万円(前年同期比84億4900万円減、23.2%減益)。親会社株主に帰属する当期純利益は、ポートフォリオ変革としてセメント事業からの撤退を決定したことに伴い製造設備の減損損失等を特別損失として計上し、127億6800万円(前年同期比132億4400万円減、50.9%減益)となった。
部門別の内容は次のとおり。
◎電子・先端プロダクツ部門
高純度導電性カーボンブラックは需要が前年並みに推移したほか販売価格の改定により増収となり、窒化ケイ素もxEV向けの需要が堅調に推移し増収となった。一方、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは、パソコン、スマートフォンなどの民生向け需要の減少により販売数量が減少。また、球状アルミナは、xEVや5G関連向けの需要が堅調に推移したが、民生向けの需要が減少し全体では販売数量が前年を下回った。このほか、自動車産業用向けの金属アルミ基板"ヒットプレート"やLED用サイアロン蛍光体"アロンブライト"の販売も前年を下回った。
この結果、同当部門の売上高は935億4100万円(前年同期比33億8800万円(3.8%)増収)となり、営業利益は179億7500万円と前年同期に比べ6億8000万円(3.6%)の減益。
◎ライフイノベーション部門
インフルエンザワクチンの出荷は生産能力を増強したことから前年を上回った。一方、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットおよびインフルエンザウイルスとの同時診断キットは、感染の拡大により病院での検査需要が拡大し出荷量が増えたが、保険点数引き下げにより価格が大幅に下落し減収。また、その他の検査試薬は中国でゼロコロナ政策による行動制限があり検査需要が減少したため減収となった。
この結果、同部門の売上高は475億2500万円(前年同期比14億2700万円(3.1%)増収)となったが、営業利益は143億7800万円と前年同期に比べ11億1700万円(7.2%)の減益となった。
◎エラストマー・インフラソリューション部門
同部門はウクライナ危機に端を発した原燃料価格上昇の影響を大きく受けた。クロロプレンゴムは販売数量が前年を下回ったが、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を行い増収。このほか、肥料の販売は前年を上回り、特殊混和材の販売は概ね前年並みとなった。一方、セメントは急激な原燃料価格の上昇に対して価格転嫁が遅れたため減収。
この結果、同部門の売上高は1238億2700万円(前年同期比169億4800万円(15.9%)増収)となり、11億円の営業損失(前年同期は営業損失34億7300万円)となった。
◎ポリマーソリューション部門
同部門は各製品で原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めた。数量面では、ABS樹脂や透明樹脂は自動車減産や中国経済減速に伴う民生需要低迷の影響を受け減少。デンカシンガポール社のMS樹脂はテレビやモニター向けの需要が減少した。また、食品包材用シートおよびその加工品、合繊かつら用原糸"トヨカロン"の販売数量も前年を下回った。このほか、スチレンモノマーは4年に1度の定期修繕を実施したことでコストが増加。
この結果、同部門の売上高は1275億6900万円(前年同期比9億9100万円(0.8%)増収)となり、12億2800万円の営業損失(前年同期は営業利益79億500万円)となった。
◎その他部門
YKアクロス株式会社等の商社は取扱高が概ね前年並み。この結果、同部門の売上高は150億9400万円(前年同期比4600万円(0.3%)減収)となり、営業利益は25億1200万円と前年同期に比べ6億700万円(31.9%)の増益となった。
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