パレット標準化や農産品輸送拠点の機能強化を 政府の物流検討会が最終まとめ案2023年5月22日
トラック運転手の拘束時間の上限短縮などいわゆる「物流の2024年問題」を前に、持続可能な物流について検討している経産省と農水省、国交省の有識者会議が5月19日、開かれ、最終とりまとめ案が示された。物流が危機的状況にあることへの荷主企業や消費者の理解を深める方策の必要性をはじめ、物流標準化や効率化に向けてパレットの標準化推進や、輸送能力の不足が深刻化するとされる農産品の輸送拠点の機能強化を図ることなどが盛り込まれた。
これまでの有識者会議では、2024年問題の影響について、特に「農産・水産品出荷団体」では、不足する輸送能力の割合が32.5%に上るとの試算が示されるなど、厳しい状況が指摘されてる。19日の会議では、こうした課題への解決に向けて取り組むべき政策などをまとめた最終とりまとめ案が示された。
この中では、取り組むべき政策として、▽荷主企業や消費者の意識改革▽物流プロセスの課題の解決▽物流標準化・効率化の推進に向けた環境整備の3つを柱に方向性が示された。
荷主企業や消費者の意識改革については、荷主企業などによる物流改善の取組状況が消費者や市場からの評価につながるようにランク評価を行うなど、取組を進めるインセンティブとなる仕組みの創設や、配達日の分散に対してインセンティブを付与するなど、消費者の行動変容につながる施策の実施が盛り込まれた。
物流プロセスの課題解決については、待機時間や荷役時間の削減に向けた事業者の連携・協働をはじめ、運賃の適正収受を図る観点からも、物流サービスに応じて価格を変動させる「メニュープライシング」の取り組みなど、物流コストの見える化の推進、トラックドライバーの賃金水準向上に向けた環境整備の検討などを求めている。
さらに物流標準化・効率化の推進に向けた環境整備については、デジタル技術を活用した共同輸配送などの検討や、官民連携でパレットやコンテナの標準化を推進する方策の検討、輸送能力の不足が指摘されている農産品の輸送や集出荷拠点の機能強化などが強調された。
有識者会議は次回の6月16日の会合で最終とりまとめの決定に向けて、さらに議論を重ねることにしている。
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