熊本県のDX公募実証事業で「鳥獣被害対策情報プラットフォーム」構築 イノP×ESRIジャパン2023年5月31日
熊本県を拠点に鳥獣被害対策活動やジビエファームを運営するイノP(熊本県宇城市)とGIS(地理情報システム)パッケージソフトウェア国内最大手のESRIジャパンは、熊本県の令和4年度DX公募実証事業に採択。ESRIジャパンが提供するクラウドサービス ArcGIS Online を利用した「鳥獣被害対策情報プラットフォーム」の構築実証を行った。
宇城市三角ではイノシシによる農作物被害が増加しており、営農意欲を失った農家が離農することで耕作放棄地が増え、鳥獣被害が増加している。イノPは地域の若手農家からなる「農家ハンター」を結成し、罠によるイノシシの捕獲やIoT機器を駆使した有害鳥獣対策を実施してきたが、イノシシの捕獲数は増えても、収集したデータの効果検証や異なるIoT機器で収集する情報の集約が難しく、情報の有効活用ができていなかった。
今回の実証では、ArcGIS Onlineを活用して「鳥獣被害対策情報プラットフォーム」を構築。有害鳥獣の情報を必要とする行政担当者や農家ハンターなどのユーザーが、集約された情報を参照し、効率的な鳥獣被害対策のための仕組みづくりの検討・実証を行った。
有害鳥獣の捕獲者は捕獲報告の際、捕獲者は、捕獲写真や取得者情報、捕獲した場所などを各市町村窓口に届け、届け出を受けた自治体職員は、都道府県への報告のために集計する必要がある。
今回の実証で調査した中で報告件数が最も多い自治体は、年間7000件もの報告内容の取りまとめ作業を実施しており、多大な業務負担が発生していることが分かった。そこで、捕獲者と市町村の双方の負担軽減のため、スマートフォンアプリから捕獲を報告し、リアルタイムに市町村窓口のダッシュボードアプリで可視化する仕組みを実証。これにより捕獲者の報告の手間や自治体職員の捕獲報告情報の取りまとめ業務を大幅に削減できることを実証した。
ArcGIS Onlineを活用した「鳥獣被害対策情報プラットフォーム」
実証では、自動無人撮影カメラ「ハイクカム」を活用し、カメラで取得できる情報(位置情報、撮影日時、温度等)をマップと連動させて可視化するArcGIS Onlineのダッシュボードアプリの構築。さらに、他のIoT機器から取得できるセンサー情報(罠や電柵等)も連携させ、マップで可視化することでより効果的な鳥獣対策の実施が可能となった。
同社は今回のDX実証事業参加を機に、産学官連携の鳥獣対策DXのモデルを県内の市町村へと確実に広げていく。
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