運転手不足の2024年問題対応へ 荷主経営者層への規制的措置や再配達率半減など 政府が政策パッケージ2023年6月5日
トラック運転手の拘束時間の上限短縮などで運転手不足が懸念される、いわゆる「物流の2024年問題」に対応するため、政府は6月2日、政策パッケージをまとめた。荷主と物流事業者、消費者が協力して対応する必要性を強調し、荷主経営者層に意識改革を促す規制的措置の導入や再配達率の半減などを目標に掲げている。
物流の革新に向けた政策パッケージが示された関係閣僚会議(首相官邸ホームページより)
政策パッケージは、同日、首相官邸で開かれた物流の革新を議論する関係閣僚会議で示された。これを受けて農水省と経産省、国交省は共同でまとめた「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を公表した。
パッケージは、何も対策を講じなければ2024年度に14%、30年度に24%の輸送力不足になるおそれがあると指摘、荷主企業と物流事業者、消費者が協力して物流を支える環境整備が必要だと強調し、▽商慣行の見直し▽物流の効率化▽荷主・消費者の行動変容の3つを柱に具体的な施策を示した。
商慣行の見直しでは、1運行当たりの荷待ち・荷役が3時間を超す中、物流負荷の軽減に向けた規制的措置の導入や、納品期限や物流コスト込みの取引価格の見直し、物流の担い手の賃金水準向上に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化などを進めることが盛り込まれた。
物流の効率化では、自動運転やドローン物流などを取り入れた「物流DX」の推進やパレット規格統一などの「物流標準化」の推進などを示した。
荷主・消費者の行動変容については、物流危機対策への取り組む荷主企業・物流事業者が半数程度にとどまっている中、荷主の経営者層の意識改革・行動変容を促す規制的措置の導入や、再配達「半減」に向けた対策などを掲げている。
岸田首相は関係閣僚会議の議論を踏まえ、「物流は国民生活や経済を支える重要な社会インフラであり、物流の停滞が懸念される2024年問題は喫緊の課題だ。荷主・物流事業者・消費者の間で長年定着している構造を改革する必要があり、その実効性が求められ、物流の革新に向けて政府一丸となって精力的に取り組んでほしい」と述べた。
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