天然林の再生への重要情報 北日本の主要樹種の寿命を推定 森林総合研究所2023年6月12日
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の研究グループは、天然広葉樹大径材が集まっていた1990年代の木材市場で、東北から北海道に分布する42樹種・計1684本の丸太の年輪数と太さを計測。多様な樹種の寿命と最大径のまとまった情報を日本で初めて科学的に推定することに成功した。
岩手県矢巾町の木材市場で大径木1684本の年輪を数えた(撮影:正木隆氏)
多様な樹種からなる森林の成立ちを理解し、その行く末を予測するには、それぞれの樹種の寿命を知ることが重要だが、これまで科学的に信頼できるまとまった情報はなかった。研究グループは、1990年代半ばに北日本の天然の大径材が単一の木材市場に集荷されていた時期に、42樹種・計1684本の丸太の太さと年輪を調べ、そのデータから樹種ごとの寿命と最大径を推定することに成功。寿命と最大径は樹種によって大きく異なることがわかった。
トチノキ、ミズナラ、ハリギリの寿命は約700年以上で最も長く、ミズキ、シラカンバ、ドロノキ等の寿命は最も短い約100年以上、北日本の天然林を代表するブナやハルニレは中間の約400〜500年以上。最大径は40〜120cmにおよび寿命とおおむね正比例したが、寿命約600年で最大径70cm前後のオノオレカンバやイチイ、寿命280年で最大径45cmのヤマボウシなど、太くはならないが実は老齢な個体を含む樹種もあった。これらの寿命推定値は北米の近縁種との類似関係があり、普遍性が確認された。
現在、日本では人工林の一部を広葉樹林に復元する取り組みも行われている。真に原生的な、より自然に近い姿の森林を再生するには、400〜700年におよぶ超長期的なビジョンが必要とされる。
同研究成果は5月10日、『Journal of Forest Research』誌でオンライン公開された。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日