居住支援による入居は25%「居住支援法人活動の普及拡大に向けた調査事業」報告書2023年6月14日
パルシステム連合会が設立時から参加している(一社)全国居住支援法人協議会は、支援付き住宅の実態に関する初の全国調査「居住支援法人活動の普及拡大に向けた調査事業」の報告書を取りまとめ、居住支援法人へ寄せられた相談件数の4分の1が入居につながっているなどの実態と課題が明らかになった。調査結果は6月24日、東京都港区で開催する総会記念シンポジウムで報告される。
調査は、全国の都道府県に登録する居住支援法人592団体(2023年3月末時点)のうち471件へ調査票を発送し、回答を得た201件(発送数に対する回収率42.7%)を基にまとめた。属性は、福祉事業者が母体となる団体が54.2%、不動産会社・管理会社系が19.9%など。
1団体当たりに寄せられる相談受付件数は99.1件。そのうち入居が成約した件数は24.3%で、4分の1が入居を果たしている実態が分かった。入居に至らなかった要因(複数回答)は、家賃(60.7%)、立地(59.7%)、間取り等(48.8%)で希望条件に合う物件がなかったことが最も多かった。一方、次いで不動産会社(48.8%)や家主・大家(45.3%)から断られたとの回答数も高く、社会的な理解の浸透が課題として浮かび上がっている。
入居後の安否確認など「必要性ある」
相談者の属性(複数回答)は、高齢者(73.1%)が最も多く、生活保護受給者(68.7%)、低所得者(62.7%)、精神障がい者(57.2%)と続き、ひとり親世帯は22.4%。居住支援法人が「必要性がある」と感じる支援は、生活状況などを把握するアセスメントや物件の紹介、同行など入居前の項目で高くなった。入居後も安否確認や定期訪問、生活相談などが比較的高くなっている。
自由回答に基づく分析では、単身高齢者や生活困窮者による入居相談などが増加傾向にある一方、相談者が求める低家賃の物件が不足している現状が明らかになった。また、多様な支援機能を有する福祉事業者系と物件所有に強みをもつ不動産会社系の団体の連携に課題がみられ、報告書では円滑な相互連携を実現するしくみの必要性も示唆している。
調査結果の報告は6月24日、東京都港区で開催する総会記念シンポジウムで、藤森克彦氏(日本福祉大学教授)が基調講演として報告する。
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