スギの根が山腹の表層崩壊を防止する機能の評価手法を開発 森林総合研究所2023年6月16日
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所は、スギ根系が有する山腹の表層崩壊防止機能の経年変動を評価する手を開発した。
森林が発揮する崩壊防止機能について、従来は、根株自体を横方向に引き倒す際に計測された強度に基づいて評価されてきた。そこで計測された強度は、根株が引き倒しに抵抗する力で、表層崩壊を防止する機能をどの程度表現しているのかが不明だった。
同研究では、想定される表層崩壊のすべり面におけるスギ根を対象に現地計測および数値計算を組み合わせて崩壊に対する抵抗力を分析する手法を提案。すべり面において根系が発揮する崩壊防止機能の経年変動を評価した。皆伐後に腐朽が進行することに伴う根の補強機能低下、再造林による新規植栽木の成長に伴う根の補強機能増大の双方を合わせて分析した結果、スギ根系が発揮する崩壊防止機能は皆伐から10年は低減すること、一方で、防災機能を早期に回復させるためには皆伐直後の再造林が必要であることを明らかにした。
同研究で得られた成果は、スギ人工林の皆伐後に懸念される斜面災害を検討するにあたり、速やかに植栽することにより崩壊防止機能が早期に大幅に回復することを示しており、国土強靱化に貢献する。
同研究成果は1月29日、『Forests』誌でオンライン公開された。
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