特殊なデンプンでナトリウムを吸着・無害化するヒナアズキ 特殊な耐塩性機構の正体を解明2023年7月7日
農研機構、量子科学技術研究開発機構、筑波大学、東京大学、理化学研究所からなる研究グループは、アズキの近縁種であるヒナアズキが、葉に特殊なデンプンを蓄積し、ナトリウムを吸着させ隔離することで無害化できることを明らかにした。新たに解明したこの耐塩性機構は、一般的な耐塩性植物が持つ葉へのナトリウム流入抑制とは異なることから、今後の耐塩性作物の開発への適用が期待される。
多くの植物では、ナトリウムが葉に流入して蓄積すると、光合成を阻害し葉に深刻な障害(塩害)をもたらす。利用可能な淡水資源が世界的に減少しつつある現在、ナトリウム濃度の高い塩水でも栽培可能な、塩害に強い耐塩性作物の開発が求められているが、そのためには耐塩性機構の解明が不可欠となる。
一般的な耐塩性植物は、葉へのナトリウム流入を抑制する機構が発達。以前、農研機構と量子科学技術研究開発機構(QST)は、アズキの近縁種の耐塩性植物には、これとは異なる独自の耐塩性機構を獲得した種が複数存在することを明らかにした。
その中でもヒナアズキは、葉にナトリウムを蓄積するユニークな性質を持っており、同研究グループは今回、その耐塩性機構について詳細な調査。その結果、ヒナアズキの葉では、葉緑体に多くのデンプン顆粒を形成し、そのデンプン顆粒の特殊な能力によって流入したナトリウムを吸着することで、光合成の阻害等のナトリウムの悪影響を抑制することが示唆された。ヒナアズキは、多くの耐塩性植物が持つ葉へのナトリウム流入抑制とは異なる耐塩性機構を持つことが明らかとなった。
今後、ヒナアズキの特殊なデンプン顆粒形成に関連する遺伝子の同定を進める。これによりヒナアズキの特殊な耐塩性機構をその他の耐塩性機構と組み合わせることで、世界的な淡水資源の枯渇問題に対応する、さらに塩害に強い作物の開発への応用が期待される。
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