7月の平均卵価は1割弱下落 先行きは不透明 スーパー「もう少し下がらないと」 客は「高値に慣れ」も2023年7月31日
7月の卵の平均卸売価格が前の月を1割弱下回ったことが、JA全農たまごのまとめで分かった。夏場の需要の減少に加えて鳥インフルエンザに感染した農場で再開する動きが進んでいることが背景にあるが、卸関係者は「需要が回復するお盆後の見通しは不透明」としている。一方、都内のスーパーでは「1割位戻っても厳しい。もう少し下がってくれないとお客さんにインパクトはなく、戻ってくれない」と話している。
JA全農たまごによると、7月の東京の卵のM基準値(円/㎏)の平均卸売価格は320円となり、平成以降最高値だった今年4月~5月の350円、6月の349円を約9%下回った。7月31日の価格は289円とさらに下がっている。ただし、昨年7月の平均価格205円と比較すると約56%高く、高値水準は続いている。
鶏卵価格は、昨シーズンの鳥インフルエンザの感染拡大で採卵鶏の殺処分数が過去最多の約1650万羽に上ったことが大きく影響したが、卸関係者によると、元々夏場は鶏卵の需要が落ち込むのに加えて、コンビニなどが鶏卵不足を見越して数か月前から夏メニューの卵使用を控えたため、さらに需要が低下したことが要因だとしている。また、鳥インフルが発生した農場の一部が再開へ動き出していることも供給不足の緩和につながっているとみられる。
ただし、今後の見通しについては、「お盆を過ぎると気温の低下とともに需要が戻ってくるのに加え、再開した農場も元の供給量に戻るには相当の時間がかかること、さらに今年秋冬の鳥インフルエンザの動向も読めないので、価格の動向は不透明だ」としている。
スーパー「もう少し下がらないとお客さんは戻らない」
東京都墨田区の「スーパーイズミ」の五味衛社長は「1割位下がってもお客さんへのインパクトはない。もう少し下がってくれないとお客さんは戻ってくれない」と話す。売上としては、通常の3分の1位まで下がっているという。
ただし、若干、価格が落ち着いたことから、2週間ほど前から毎週日曜日と火曜日の特売日に、Sサイズ10個入りパックを10円下げて187円で販売したところ、多少売り上げ量は伸びてきたという。「本当はMサイズで特売をしたいけど200円以上では特売の意味がないので、価格が落ち着くまで待つしかありません」。今年の猛暑で電力代もかさみ、「お客さんも暑いから夕方にならないと来てもらえませんし、厳しい夏です」と語る。
買い物客にも聞いてみた。40代女性は「まだ下がっているイメージはありませんし、高いと感じます。いつもより購入量は半分位かな。Mサイズパックで200円台位になってくれないと厳しいですね」と話した。
一方、別の40代女性は「毎朝必ず卵を使うので高いのが当たり前になってきている気もします。卵は買うものと割り切って購入していますが、やはり250円位になると買いやすいと思います」と話していた。
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