秋田県でエリートツリー苗生産に向けた「特定増殖事業者」の認定を取得 閉鎖型採種園を開設予定 日本製紙2023年8月10日
日本製紙株式会社は、CO2吸収能力が高く成長に優れ花粉量が少ないなどの特徴を持つ、スギやヒノキのエリートツリー等の苗生産事業拡大に向け、秋田県で「特定増殖事業者」の認定を取得したと発表した。10月を目途に、同県内に閉鎖型採種園を開設する。
エリートツリーとは、間伐等特措法において森林のCOs吸収固定能力の向上のため、成長に係る特性の特に優れたものとして農林水産大臣により指定された特定母樹由来の苗木(特定苗木)を指す。特定母樹の指定基準は、成長性が在来系統と比較して1.5倍以上、花粉量が一般的なスギ・ヒノキの半分以下、材の剛性にも優れ、幹の通直性の曲がりがないものなどが挙げられる。
同社グループは、国内7区域のうち、これまでに、静岡県(三区)、鳥取県と広島県北部(四区)、広島県南部(五区)、熊本県と大分県(六区)で認定を受けて、採種園・採穂園(種子を生産することを目的として母樹を植栽し、種子を採種しやすく仕立てた樹木園。採種園より得られた種子を播種して実生苗する。)を開設した。また、地元の山林種苗協同組合員や新規生産者との協業により、スギやヒノキ等のエリートツリー苗の生産体制の整備を進めてきた。今回、秋田県での年間15万本分の種子生産に加え、昨年開設した鳥取県の閉鎖型採種園でも20万本分の増産を決定したことから、国内における同社のエリートツリー苗の生産能力は年間160万本に達した。今後、2030年1000万本の生産体制構築に向けて取り組むとしている。
花粉症の有病率は4割超にのぼり、社会問題となっていること等から、政府が5月30日の「花粉症に関する関係閣僚会議」で、10年後には花粉の少ないスギ苗木の生産割合をスギ苗木全体の9割以上に引き上げる方針を打ち出している。同社グループが生産するスギのエリートツリー苗は、花粉量が一般的なものに比べ半分以下で、九州では1%以下の品種を中心に供給している。同社はエリートツリー苗の生産拡大により、今後の花粉症対策に大きく貢献できるとしている。
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