「ALPS処理水放出の見直しを求めます」政府へ意見提出 パルシステム連合会2023年9月12日
パルシステム連合会は9月12日、政府へ意見「漁業者や消費者の不安を拭えないALPS処理水の海洋放出(方針)の見直しを求めます」を提出。漁業者や消費者の不安や懸念が拭えないままでの処理水放出を停止し、見直すことを強く求めた。
放射性物質のトリチウムを含んだALPS処理水の海洋放出をめぐっては、政府が8月22日の関係閣僚会議で方針を決定し、これを受けて東京電力が24日に放出を開始。意見は、西村康稔経済産業大臣、森健水産庁長官に提出された。
意見全文は次の通り。
漁業者や消費者の不安を拭えないALPS処理水の海洋放出(方針)の見直しを求めます
パルシステム生活協同組合連合会
理事長大信政一
私たちパルシステムは「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」を理念とし、1都12県で活動する生活協同組合のグループです。私たちは2011年東京電力福島第一原子力発電所の事故後、未来への責任と地球環境全体への責任を自覚し、エネルギーの使用を「減らす」、原子力発電を「止める」、再生可能エネルギーへ「切り替える」を基本方針として、原子力発電に頼らず再生可能エネルギーへの転換による資源循環型社会の構築を目指してきました。また、放射能汚染の実害及び風評被害から被災地域のくらしを持続可能なものとするため、これまで産直産地への支援や被害者の方々への応援活動を行ってきました。
上記の立場に基づき私たちはこれまでも、原発事故に係るALPS処理水の海洋放出について、漁業者や消費者の不安を拭えないことから反対意見を表明してきました。こうしたなか2023年8月24日の放出開始は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束が順守されておらず、大変遺憾です。
ALPS処理水は市民が接する生活環境に排出されるべきではありません。放出は30年以上の期間を要するうえ、長期的な海洋環境やあらゆる生命の健康に与える影響は分かっていません。さらに、タンク内の処理水の7割に、トリチウム以外の放射性物質が基準を超えて含まれていることが明らかになりました。政府は二次処理によって基準値以下にしたうえで放出するとしていますが、それに含まれる放射性物質の総量は示されないままです。
海洋放出に対し、国内外の多くの市民が懸念を抱いています。環境影響への実害及び不安による風評被害が広がれば、漁業者のくらしが脅かされることは間違いありません。全国漁業協同組合連合会は海洋放出にあたり「反対であることはいささかも変わりはない。国家的見地から国が全責任を持って放出を判断したとはいえ、今、この瞬間を目の当たりにし、全国の漁業者の不安な思いは増している」(抜粋)との会長コメントを表明しました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故から12年が経過しています。廃炉に向けた作業がどれくらいの期間を要するのか、どのような措置を講じるのか、いまだ明示されていません。またその間、東京電力の情報提供の姿勢がたびたび批判され、多くの関係者はそれによる不信感を解消できないままでいます。海洋放出が漁業者や消費者のさまざまな不安や懸念が拭えていないまま開始されたことを強く認識すべきです。
以上の理由からALPS処理水の海洋放出を停止し見直すことを強く求めます。
以上
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