山に埋もれた自生樹木が収入源に 枝もの定期便「SiKiTO」と黒滝村森林組合が提携2023年11月28日
「美しく、うつろう四季と暮らす。」をコンセプトにECサイト「SiKiTO(シキト)」を運営する株式会社TRINUS(トリナス)(東京都世田谷区)は、黒滝村森林組合(奈良県吉野郡)と提携。これまで森林で捨てられていたアセビの切り枝を、SiKiTOの「枝もの定期便」の商品として活用する取り組みを開始する。
黒滝村森林組合が森林で選定・収穫した「枝もの」が家庭に届く
「枝もの定期便」は、季節の切り枝が自宅に届くサービスで、森林に自生するアセビやドウダンツツジなど、樹木の切り枝を扱っている。2022年3月のサービス開始から急激に成長しニーズが拡大する一方、切り枝の供給量は減少傾向にあり、今後の安定的な仕入が大きな課題となっている。
そこで同社はAgVentureLabが運営するJAアクセラレーター支援のもと、アセビの豊富な自生地である奈良県内の森林組合にアプローチしたところ、黒滝村森林組合(奈良県吉野郡黒滝村)とつながった。同組合では豊かな森林を次世代に残すため、村内の森林整備事業を実施。同組合で管理する森林におけるアセビの自生状況をTRINUSと共同で調査したところ、観賞用切り枝として出荷可能な品質のアセビの群生が確認された。
通常の林業ではアセビのような低木は不要とされ、「下草刈り」として刈られて廃棄されるのが一般的だが、この取り組みではこれまで捨てられてきたアセビを切り枝として積極的に収穫し、SiKiTOが運営する「枝もの定期便」で活用する。
取り組みの流れ
具体的な流れとしては、黒滝村森林組合が森林に入り、SiKiTOの品質規格に合致するアセビを選定・収穫。その後、切り花の取扱高全国2位の「なにわ花いちば」の物流網を利用し、黒滝村からSiKiTOの物流拠点(東京都大田区)まで輸送する。SiKITOでは、届いたアセビの品質確認・水揚げ・梱包後、全国の枝もの定期便ユーザーのもとへ届ける。
この取り組みにより、"伐採作業のジャマもの""木材の成長を妨げる存在"と、これまで価値が見出されず手間をかけて処分していた下草が新たな地域資源として収入源になるため、森林組合の経営にとって大きなプラスとなり、地域の雇用創出が見込まれる。
黒滝村森林組合の的場真一参事は、「山の中で今まで見過ごされてきた花木(アセビ)が、新しい空間で人々の心を和ませる存在へと生まれ変わる事は、私たちにとって新しい林業分野への大きな第一歩・チャレンジへとつながる」と話している。
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