2月の食品値上げ1626品目 4月は3000品目超え「ラッシュ」の可能性 帝国データバンク2024年2月2日
帝国データバンクは1月31日、2月以降の食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析し、結果を発表した。2月の食品値上げは1626品目で前年比7割減。加工食品が最多643品目となり、世界的な猛暑による不作など「トマトショック」の影響が、ケチャップやジュースの価格にも影響したとみられる。
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2月の飲食料品値上げは1626品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。単月の値上げ品目数としては2023年10月以来4か月ぶりに1000品目を上回った。ただ、前年同月の5639品目に比べると7割減となったほか、2000品目を超える値上げが常態化していた前年中旬までの推移と比較しても大幅に少ない水準で推移している。
この結果、2024年通年の値上げ品目数は5月までの累計で4556品目判明し、平均値上げ率は17%に達した。1~5月間の値上げ品目数を比較すると、23年比(1万6106品目)では71.7%減と大幅減で推移するものの、値上げラッシュ本格化前の22年比(5824品目)では21.8%減にとどまった。23年中旬にかけた段階的な価格転嫁=値上げが浸透し採算性の改善がみられるほか、食品販売におけるPB比率の上昇や値上げ後の販売数量減少といった、消費者の値上げ疲れが鮮明化したことも背景に、値上げの勢いは総じて鈍化した状態が続いている。
前年の主な値上げ要因だった原材料高は一服感が目立つ。2024年に予定される値上げ4556品目のうち、「原材料高」を理由とした値上げは84.6%(品目数ベース)と、前年同期(98.9%)を大幅に下回ったほか、「エネルギー」などの割合も低下した。一方、「円安」(39.9%)、「人件費」(18.1%)などは前年同期から倍増するなど大幅に上昇した。
2月の値上げ、加工食品が最多643品目 ケチャップやジュースで「トマトショック」影響
2月の値上げは、パスタソースなどパウチ常温食品を中心とした「加工食品」(643品目)が全食品分野で最も多かった。「調味料」(545品目)は、削り節などのだし製品やケチャップなどトマト加工品が中心。「酒類・飲料」(166品目)も、トマトジュースなどトマト加工品で多く、世界的な猛暑による不作など「トマトショック」が価格にも影響したとみられる。
1~5月間の年間比較では、2024年は「加工食品」(2261品目)が最も多かった。23年の3割程度と大幅に減少したものの、22年の水準とほぼ同等のペースで推移している。
今後の見通し:年間最大1~1.5万品目予想 コストプッシュ型から転換、緩やかな値上げ続く
足元では、円安の影響による輸入コスト増といった原材料以外のコスト高騰分を価格へ十分に反映できないケースもある。ただ、前年末に円高基調で推移した為替レートで、将来的な輸入コストの低下に期待感も高まっている。中東情勢の混乱や電気代の引き上げなどリスクはあるものの、原料高騰を中心とした値上げ機運は前年の同じ時期に比べて後退傾向がみられる。
短期的には「物流の2024年問題」に対応した物流費の大幅な上昇が見込まれ、3・4月にかけて局所的な値上げが加速するとみられる。特に4月は、1月末時点で2000品目に迫っており、昨年10月以来6か月ぶりとなる3000品目に到達する可能性がある。
値上げ内容の変化も注目。賃金上昇に伴う値上げが顕在化しており、「人件費」を理由とした値上げの割合は5月までの品目数で約2割を占め、前年同期の1.8倍に拡大した。一部のメーカーでは、過去の値上げによる収益を人件費へ投資・再分配する動きも出始めた。賃上げ原資の確保に向けた持続的な値上げが、食品分野全体に広がるかが注目される。
2024年の値上げは前年のコスト高を解消する目的に加え、物流費の上昇や賃上げなど人件費増に対応した値上げが続くとみられる。内閣府がまとめた調査では、食品値上げを「許容できる」と答えた人が7割を超えた。ただ、値上げ幅については「1割まで」の割合が最多で、食品価格の高騰については価格の安いものに切り替えたと答えた割合が半数を超えるなど、消費者の節約志向は依然根強い。そのため各社では多品目かつ大幅な値上げには慎重さもみられ、年間では最大1~1.5万品目前後、月平均で1~2000品目前後の緩やかな値上げペースが続くとみられる。
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