生協6グループ「食料・農業・農村基本法」改正へ提言 農水省舞立政務官を訪問2024年3月21日
政府が成立を目指している「食料・農業・農村基本法」の改正案を受け、国内で活動する生活協同組合6グループは3月19日、農林水産省を訪問し舞立昇治政務官へ提言書を手渡した。その後、衆議院第一議員会館で意見交換会「国内農業を守り、食料自給率向上へむけて!」を開催。提言を発表するとともに意見を表明した。
提言書を受け取る舞立政務官(中央)と生協6グループの代表者
提言は、食料自給率向上と価格政策、環境保全、食品表示の4分野にわたり15項目で構成。国内における食料生産の強化や担い手確保、経営安定などへの施策を求めるもの。舞立政務官への訪問は、提言をまとめた生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、東都生活協同組合、生活協同組合連合会コープ自然派事業連合、生活協同組合連合会アイチョイス、グリーンコープ生活協同組合連合会、パルシステム生活協同組合連合会の6グループから代表が参加した。
舞立政務官は提言の趣旨説明を受け、「施行当時の時代背景もあり現法が安易な輸入頼みとなっており、現状に即した法改正は不可欠。提言は広範囲にわたっており、読み込みたい。法改正後の基本計画策定でも議論を深め、総合的な支援策に向けて不断の見直しを進める」と述べた。
産直に携わる400人近くが参加
意見交換会は、会場とオンラインをあわせて約400人が参加。与野党から多くの議員も来場し「消費者と生産者の隔てなく産直にかかわる生協だからこそ、提言の重みを感じます」などのあいさつがあった。
主催者を代表してあいさつした生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の村上彰一会長は「食料自給率が低下していく現状を打破しなければならない。経済や経営にとどまらず、消費、環境保全などの側面もあわせた持続可能な農業に向け、考えていきましょう」と提起した。
また、生産者を代表して意見表明した小川保さん(JAつくば市谷田部)は「家族農業を営む1人の生産者として危機感を感じる。周囲にはすでに農業をやめた生産者もいる。次世代へ継がせたい、次世代が継ぎたいと思えるような農業政策を実現してください」と訴えた。
意見交換会には産直に携わる約400人が参加
提言要旨は次の通り。
「食料・農業・農村基本法」改正に対する提言
Ⅰ.食料自給率目標の明示と実現のための対策について
1.食料安全保障の確立のために、食料自給率の向上が必要です
2.多面的機能、脱炭素化の推進のために、食料自給率の向上が必要です
3.食料自給率目標の明示と実現のための対策を求めます
4.100%自給可能な米作を強化する対策を求めます
5.国内自給率向上のためには担い手が必要です
Ⅱ.国内農業、生産者を保護するための適正な価格形成について
1.生産者の農業所得の向上と再生産を確保し得る適正な農林水産関係予算を求めます
2.多様な農業形態、担い手の確保と気候風土に適った地域農業の育成を求めます
3.農業分野における財政支援を求めます
4.再生産可能な価格の設定と維持に向けた政策を求めます
Ⅲ.環境保全型農業、みどりの食料システム戦略について
1.自然循環を生かした安全でおいしい食べものづくりの推進が必要です
2.環境への取り組みと資源循環型農業(未利用資源の活用)の推進を求めます
3.「みどりの食料システム戦略」を農業政策に位置づけた持続可能な農業の推進を求めます
4.有機農業・環境保全型農業の推進と学校給食への活用を求めます
Ⅳ.消費者の立場に立った食品安全などに関わる規制と表示、食料の安全確保の強化について
1.食品安全・食品表示に係る制度・政策について、自給率向上を図るための見直しが必要です
2.食品安全・食品表示に係る制度・政策について、食品表示法の基本理念に則って検討することを求めます
1)加工食品の原料原産地表示制度の見直しを求めます
2)遺伝子操作(遺伝子組換え、ゲノム編集)食品の表示制度の見直しを求めます
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