陸上試験でLNG燃料のメタンスリップ削減率93.8%を達成で鑑定書取得2024年4月12日
日立造船、商船三井とヤンマーパワーテクノロジーは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業「次世代船舶の開発」プロジェクトで採択された事業「触媒とエンジン改良によるLNG燃料船からのメタンスリップ削減技術の開発」において、陸上試験にて削減率93.8%(エンジン負荷率100%時)を達成。このほど(一財)日本海事協会(NK)から削減率達成の確認を証明する鑑定書を世界で初めて取得した。
鑑定書受領セレモニーの様子
同事業は、2021年度から2026年度までの6年間で、メタン酸化触媒とエンジンの改良を組み合わせ、LNG燃料船のメタンスリップ削減率70%以上を目標にするもので、陸上でも確立されていないメタンスリップ削減技術を、世界に先駆けて海運分野で社会実装することを目指している。
日立造船とヤンマーPTは、LNGを燃料とする舶用エンジンから排出されるメタンを酸化させることでメタンスリップを削減する「メタン酸化触媒システム」を2022年に開発し、世界で初めて「基本設計承認(Approval in Principle)」をNKより取得。2023年12月に行った陸上試験では、EGRを用いたエンジン改良とメタン酸化触媒システムを組み合わせることで目標である70%以上を大幅に上回る削減率93.8%を達成し、NKより鑑定書を世界で初めて取得した。この結果が高く評価され、NEDOによる2024年2月の継続支援対象選定審査を通過した。
今後、2024年秋頃から商船三井が運航する大型石炭専用船(船名:REIMEI(苓明))で実海域での実証試験を開始する。
国際海事機関(IMO)は、2050年頃に実質ゼロを目指すことを2023年7月に新たに採択しており、船舶の燃料を温室効果ガス排出が少ない新燃料へ転換する技術開発が海事クラスターによって進められている。
船舶の燃料については、将来的にはメタノールやアンモニア、水素の活用などが考えられているが、足元では今すぐ実現可能な低排出燃料としてLNG燃料の普及が進んでいる。しかし、LNG燃料はCO2削減効果がある一方、メタンスリップが課題となっている。
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