売上高4.5%減 経常利益は80.5%減 2024年3月期決算 デンカ2024年5月13日
デンカは5月10日、2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の決算短信を発表した。
売上高は、3892億6300万円と前年同期に比べ182億9500万円(4.5%)の減収。収益面で営業利益は、主力製品の販売数量減少やスペシャリティ化進展のためのコストの増加があり、133億7600万円(前年同期比189億4700万円減、58.6%減益)となり、経常利益は54億7400万円(前年同期比225億5000万円減、80.5%減益)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、事業整理損を特別損失として計上する一方、政策保有株式の縮減を進め投資有価証券売却益を特別利益に計上し、119億4700万円(前年同期比8億21百万円減、6.4%減益)。
部門別の内容は次のとおり。
◎電子・先端プロダクツ部門
高純度導電性カーボンブラックは、xEV向けは当期の前半は好調に推移したが、後半に入り需要鈍化の影響を受け、高圧ケーブル向けは欧州での敷設工事遅延による一時的な減少があり減収となった。球状アルミナは、xEV向けは需要が回復傾向にあるものの、民生向けは需要低調が続き減収。このほか、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーはパソコン、スマートフォンなど民生向けの需要減により減収となり、自動車産業用向けの金属アルミ基板"ヒットプレート"の販売も前年を下回った。
この結果、同部門の売上高は878億3900万円(前年同期比57億1百万円(6.1%)減収)となり、営業利益は90億2200万円と前年同期に比べ89億5300万円(49.8%)の減益となった。
◎ライフイノベーション部門
POCT検査試薬は、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットは前年を下回ったが、インフルエンザの流行により新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時診断キットが増加し、増収となった。このほか、その他の検査試薬の販売は前年並み。インフルエンザワクチンの出荷は前年並みにとどまった。
この結果、同部門の売上高は470億7800万円(前年同期比4億4700万円(0.9%)減収)。営業利益は117億3300万円と前年同期に比べ26億4500万円(18.4%)の減益となった。
◎エラストマー・インフラソリューション部門
クロロプレンゴムは、価格面では昨年度に実施した段階的な価格改定の寄与や円安による手取り増があったが、販売数量は、全般的な需要減や能登半島地震による一時的な操業停止の影響を受けて減少し、減収。このほか、特殊混和材などの販売は概ね前年並みだったが、肥料の販売は前年を下回った。
この結果、同部門の売上高は1113億5400万円(前年同期比124億7200万円(10.1%)減収)となり、92億9500万円の営業損失(前年同期は営業損失11億円)。
◎ポリマーソリューション部門
デンカシンガポール社のMS樹脂は、販売数量が前年を上回り増収。一方、スチレンモノマーは原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったことから減収となり、透明樹脂は中国経済減速の影響を受け販売数量が減少した。このほか、食品包材用シートおよびその加工品や、合繊かつら用原糸"トヨカロン"の販売も低調に推移。この結果、同部門の売上高は1242億4000万円(前年同期比33億2900万円(2.6%)減収)。1億200万円の営業損失(前年同期は営業損失12億2800万円)となった。
◎その他部門
YKアクロス株式会社等の商社は、取扱高が概ね前年並み。この結果、同部門の売上高は187億5000万円(前年同期比36億5600万円(24.2%)増収)。営業利益は18億9600万円と前年同期に比べ6億1500万円(24.5%)の減益。
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